第69話:眷属の鎖
ビショップの叫びが森に響き、
バックスは目を閉じたまま――にやりと笑った。
ビショップは手を震わせながら立ち尽くす。
「……なぜだ……殺せない……!」
バックスは喉の奥で笑う。
「……クックック……」
「笑うな!!」
「悪ぃ悪ぃ……理由は簡単だ。
お前が俺の眷属になったからだよ」
ビショップの目が大きく見開かれる。
「……へっ?」
バックスは肩をすくめる。
「さっきお前の血を吸った。
つまり――お前は俺の眷属だ」
「な、なんだと……!」
怒りで震えるビショップ。
だがその身体は、眷属化の影響でバックスに逆らえない。
バックスは遠くを見るように顔を上げた。
「おっと……やっとお呼びがかかった。
じゃあな、俺の美しいペットちゃん」
次の瞬間、
バックスの身体は霧のようにほどけ、
その場から消えた。
ビショップは取り残され、叫ぶ。
「……おい! 消えた!?
どこに行った!
私を置いて行くなぁぁぁぁぁ〜!!」
---
■ 血の布から現れる影
アメリアが地面に置いた血の布が、
赤い光を放ちながら揺らめいた。
その中心から――
バックスが霧のように現れた。
アメリアは目を輝かせる。
「おお〜! ホントに現れた!」
クラリッサは興味津々で覗き込む。
「どんな仕組みだ……?」
バックスは肩を回しながら言う。
「……なかなかのタイミングだったな。
しかし……」
視線の先には、
ゴブリンたちの死体の山。
「……派手にやったな……」
アメリアが胸を張る。
「ビショップ、だっけ? 倒したの?」
バックスは苦い顔で首を振る。
「……いや、強すぎて……殺されかけた。
戻ってくる前に逃げるぞ」
アメリアとクラリッサは顔を見合わせ、
同時に頷いた。
戦いはまだ終わっていない。




