表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/88

第17話「抗う者たち」



リィナの風障壁が消え、空間には魔王ヴァルゼインの気配が残っていた。

セレナは前に出て、声を張り上げる。


「あなたが災厄の源なら、ここで終わらせる!」


カイルが剣を炎で包み、ミーナが氷の槍を構え、リィナは風の刃を巻き起こす。

セレナはルゥと共に竜の力を解放し、魔力の奔流を操る。


四方からの攻撃が魔王を包囲する。

炎が焼き、氷が縛り、風が裂き、竜が咆哮する。


だが――


ヴァルゼインは微動だにせず、片手を軽く上げただけだった。

その瞬間、空間がねじれ、すべての攻撃が弾かれ、霧のように消えた。


「なっ……!」

カイルの剣が震え、ミーナの魔力が乱れ、風の精霊は悲鳴を上げて消えていく。


ルゥが吠えながら突進するが、魔王の視線一つで地に伏す。

セレナの魔力が暴走しかけ、リィナが風の結界でなんとか押さえ込む。


ヴァルゼインはようやく口を開いた。


「力を持つ者が集えば、抗うことはできる。だが、抗うだけでは届かん」


彼は一歩、ゆっくりと歩き出す。

誰も、その背に踏み出せなかった。


「次に会う時までに、何かを捨てておけ。そうでなければ、また同じだ」


そして、彼はその場を去っていった。

空間の揺らぎは静まり、残されたのは敗北の痛みと、沈黙だけだった。


セレナは拳を握りしめ、呟いた。

「……必ず、届かせる。次こそは」


──夜は明けない。だが、希望はまだ消えていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ