第67話:空を裂く血と炎
夜の空を切り裂くように、バックスは必死に飛んでいた。
背後からは、竜騎兵に跨ったビショップが執拗に追ってくる。
「リミッターカット!!」
ビショップが魔力を竜騎兵へ注ぎ込むと、
竜騎兵の目が金色に染まり、筋肉が膨張。
血管から血が噴き出しながら、狂ったように加速した。
距離が一気に詰まる。
「くそっ!」
バックスは振り向きざまに血の刃を放つ。
「《血刃・ブラッドエッジ》!!」
しかしビショップは軽く身をひねり、
まるで遊んでいるかのように避けてみせた。
「ふはははは! 無駄! 無駄よバンパイア!」
ビショップが魔法陣を展開する。
「《灼炎球・フレアバレット》!!」
巨大な火炎玉が連射され、
バックスはギリギリでそれらを回避する。
だが息が荒い。
「クソ……血が足りねぇ……
二週間以上飲んでねぇから高速移動じゃもたねぇ……
このままじゃヤバイ……!」
ビショップは狂気の笑みを浮かべる。
「ジリ貧ねぇ!
私の美しい顔に傷をつけたんだ……切り刻んでやるわ、バンパイア!!」
バックスは舌打ちし、空を見上げた。
「……こうなったら……!」
一気に急上昇する。
ビショップが追う。
「上か! 無駄! 無駄よ!!」
バックスは上空でピタリと停止した。
ビショップが訝しむ。
「……あいつ、何を……?」
バックスは両手を広げ、叫ぶ。
「《血障壁・ブラッドウォール》!!」
巨大な血の障壁が展開し、
そのまま重力に従って――
ビショップめがけて落下してきた。
「……! な、なんだと!!?」
ビショップと竜騎兵は避けきれず、
血の障壁が直撃する。
ドゴォォォォン!!
爆音とともに空中で衝撃が弾け、
ビショップと竜騎兵は吹き飛ばされた。
「ぐぁぁぁぁ!!」
バックスも巻き込まれ、
三者はそのまま森の奥へ――
墜落した。
木々が折れ、地面が揺れ、
森の奥に土煙が立ち上る。
空中戦は終わった。
だが、地上での死闘が――
ここから始まる。




