第61話:決意と囮
バックスは草陰からビショップを見つめ、低く呟いた。
「……ビショップはヤバイ」
アメリアは拳を握りしめ、バックスを見上げる。
「バックスさん……おとりになって、そのビショップって奴を引きつけてほしい」
バックスは眉をひそめた。
「……で、どうすんだ?
お前らだけでこいつら全部やるつもりか?」
アメリアは迷いなく頷いた。
「……うん。もっと強くならないと……
エルミナを救えない。もとに戻せない。
もっとレベルを上げないと……!」
クラリッサもアメリアの肩に手を置く。
「……アメリア……うん、私ももっと強くなる!
二人でやろう!」
バックスは二人の決意を見て、ふっと笑った。
「……なるほどな。よくわかった。
ビショップは俺が引きつける。ただし――」
バックスはコートのポケットから、
血の付いた布切れ を取り出し、アメリアに渡した。
「ヤバくなった時……
もしくは全部倒した時……
これを地面に置いて俺を呼べ。
すぐに駆けつける」
アメリアは布を握りしめ、力強く言った。
「全部倒して使うよ。絶対に!」
バックスはフードを深くかぶり、背を向ける。
「……じゃあな!」
その瞬間、
バックスの身体は闇のように跳ね上がり、
ビショップのいる方向へと飛び出していった。
アメリアとクラリッサはその背中を見送りながら、
静かに息を整えた。
二人の戦いが、ここから始まる。




