第58話:交易都市ラグナベルと、三人の実力
三人が辿り着いたのは――
交易都市ラグナベル。
大河と街道が交わる要衝で、
荷馬車がひっきりなしに行き交い、
露店の呼び声が絶えない活気ある町だ。
香辛料の匂い、鍛冶屋の金属音、
旅人や商人の笑い声が混ざり合い、
昨日までの荒れた旅が嘘のように思えるほど賑やかだった。
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■ 商店にて
バックスは地図の値札を見て、思わず叫んだ。
「40万レスターだと!?」
店主は肩をすくめ、当然のように言う。
「お客さん、これは“地図”だよ?
しかも魔導演算式の最新型。これくらいはするさ」
アメリアとクラリッサは無一文。
バックスは二人の視線を感じ、気まずそうに顔をそらした。
三人は店を後にする。
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■ お金を稼ぐしかない
クラリッサがため息をつく。
「……お金、稼ぐしかないね……」
アメリアは自分の服を見下ろした。
晩餐会用のドレスに、拾ったブーツ。
旅の格好としてはあまりにも場違いだ。
「……私の服も、旅には向いてないし……」
その時、視界に大きな看板が入った。
冒険者ギルド・ラグナベル支部
バックスが顎をしゃくる。
「……依頼を受けるか……」
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■ ギルドの嘲笑
ギルドに入ると、
屈強な冒険者たちが三人を睨みつけてきた。
「……お嬢ちゃん、子供の来るとこじゃねぇぞ……」
「帰りな、迷子ちゃんよ……」
嘲笑が飛び交う。
アメリアはむっとしたが、クラリッサが肩を押して受付へ向かわせた。
受付には、筋肉質で強面のオヤジが座っていた。
その目は完全に“見下し”だった。
バックスが言う。
「依頼を受けたい」
オヤジは鼻で笑う。
「……ステータス確認だ。どうせ雑魚だろ……」
クラリッサがステータスオラクルを展開した。
光の板に数字が浮かぶ。
「……レベル……500!?」
ギルド内がざわつく。
バックスもオラクルを出す。
「レベル800!」
「はぁ!? 見たことねぇぞそんな数字!!」
最後にアメリアが出す。
オヤジは覗き込み――
そのまま後ろによろめいた。
「……1400だと……!?」
ギルド内が静まり返る。
嘲笑は一瞬で消え失せた。
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■ 応接室にて
支配人ギルバートが深々と頭を下げた。
「私は支配人のギルバートと申します。
先程は受付が大変失礼を……!」
バックスは手を振る。
「いや、問題ない。
俺たちは金がいる。
さっさと依頼をくれ――一番高いやつだ」
ギルバートは資料を開きながら言った。
「それならば、最適な依頼があります。
グレイフォレストにゴブリンの群れが出現しまして……
発生は二週間前。
ちょうどエルミナがエメラルドに綴じ込まれた頃です」
アメリアの表情が曇る。
クラリッサがそっと肩を抱いた。
「恐らく……キングゴブリンが出現したと」
バックスは短く頷く。
「そいつらの討伐だな」
ギルバートは深刻な顔で言った。
「はい。報酬は……200万です」
バックスは即答した。
「乗った!
今夜、討伐に行く」
アメリアとクラリッサも頷く。
交易都市ラグナベルの喧騒の中で、
三人の新たな戦いが静かに幕を開けた。




