第57話:希望の味と、戻ってきた笑顔
川辺の焚き火の上で、アメリアが魚を丁寧に焼いていた。
香ばしい匂いが漂い、少しだけ張り詰めた空気が和らぐ。
アメリアはふとバックスの方を向いた。
「バックスさん」
「なんだ?」
「塩を出す血魔法なんて……いや……すいません……ないですよね」
バックスは無表情のまま答えた。
「……あるけど……」
「あるの!」
アメリアとクラリッサが同時に叫んだ。
クラリッサは身を乗り出す。
「早く出して出して!」
バックスはため息をつきながら手を差し出した。
「……ほれ」
手のひらに、白い塩がさらさらと現れた。
アメリアは目を輝かせ、魚に塩を振りかける。
その様子を見て、バックスは小さく笑った。
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■ セレナの最期を語る
食事をしながら、バックスは静かに語り始めた。
「……とまぁ、俺が見たのはここまでだ。
セレナがバンパイアになって善戦してた。
その後、俺はその場を離れたが……
外から見ていたら、エルミナがエメラルドに綴じ込まれた……」
アメリアの手が止まる。
「……つまり……
セレナおばあちゃんは負けた……
で、エルミナが……エメラルドに……」
バックスは目を伏せた。
「……ああ……残念ながら……」
アメリアはうつむき、拳を握りしめる。
「……おばあちゃん……」
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■ まだ終わっていない
クラリッサがそっとアメリアの肩に手を置いた。
「……でも、セレナ様が死んだとは確定してない」
アメリアは顔を上げる。
その瞳に、かすかな光が戻る。
「……そうだよね……
おばあちゃんも……ママもパパも……アーサーだって……」
クラリッサは力強く頷いた。
「そう。死んだわけじゃない。
エメラルドの中にいるだけ……まだ希望はある」
アメリアは胸元の赤い宝石を握りしめた。
「……なんかやる気出てきた!
まずは、この希望の光が指し示す方へ行こう!」
クラリッサは嬉しそうに笑う。
「いつものアメリアが戻ってきたね!バックスさん!」
バックスは肩をすくめた。
「……ああ……“いつものアメリア”はよく分からんが……
うん!前向きにいこう!」
焚き火の炎が三人の顔を照らし、
その光はまるで――
新しい旅の始まりを祝福しているようだった。




