第52話:エメラルド封国
アミバが空を見つめながら呟く。
「……あのバンパイアは……」
ザルグは魔竜の姿のまま、冷たく言い放つ。
「放っておけ。生きてはおらん……
さあ、最後の仕上げだ!」
ザルグは巨大な魔法サークルの中心へと降り立つ。
魔竜の翼が閉じ、黒い霧が渦巻く。
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■ エメラルド封国・第一段階
ザルグが両手を広げ、詠唱を開始する。
「《翠界初相・エメラルドヴェール》!!」
空気が震え、
エルミナ全体が 緑色の膜 に包まれた。
その光は静かで美しいが、
同時に逃げ場を奪う“檻”のようでもあった。
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■ 魔族撤収
ザルグは空を見上げ、叫ぶ。
「ビショップ! 撤収しろ!
ギガンテスを連れてそこを出ろ!」
ビショップは笑いながら返す。
「了解〜。
魔族は出られますけど〜人間は無理ですよ〜」
ギガンテスの群れと魔族軍は、
緑の膜をすり抜けるように外へ退避していく。
だが――
人間の兵士たちは膜に触れた瞬間、
弾かれて倒れ込んだ。
完全な一方通行。
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■ 最終段階
ザルグは再び詠唱を始める。
声が空を震わせ、魔法陣が輝きを増す。
「《翠界終相・エメラルドプリズン》!!」
緑の膜が一気に濃くなり、
エルミナ全体が 巨大なエメラルドの結晶 に閉ざされた。
街の音が消え、
光が屈折し、
王都は完全に“外界から隔離”された。
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■ 金色の珠
ザルグが手をかざすと、
エメラルドの中心から 金色の珠 が浮かび上がった。
それは――
エルミナの“国力”そのもの。
生命、魔力、歴史、祈り……
すべてを凝縮した結晶。
ザルグは魔竜の姿を解き、
人型へと戻る。
そして――
金色の珠をその胸へ吸収した。
ザルグの身体が金色に輝き、
魔力が爆発的に膨れ上がる。
「……これで一つ……
竜の巫女の国は、我が力となった……」
その声は、
勝利を確信した魔王の声だった。




