第51話:生存本能と魔竜の罠
セレナは血まみれの身体を震わせながら、
静かに呟いた。
「……ユニークスキル《生存本能》……」
その瞬間、
セレナの全身を覆っていた血が蠢き、
皮膚の上で硬質化していく。
赤黒い結晶のような鎧が形成され、
筋肉がさらに膨張し、
瞳が獣のように鋭く光った。
ザルグはその変化を見て、低く笑う。
「……竜の能力か……面白い……」
セレナは血の翼を大きく広げ、
空気を震わせるほどの勢いで叫んだ。
「ザルグ!!」
ザルグは黒い竜の口元を歪める。
「いいだろう……さあ、来い!!」
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■ 竜の腹を貫く一撃
セレナは一気に加速し、
血の翼が赤い残光を引く。
次の瞬間――
ザルグの巨大な腹に、竜の爪のような一撃を叩き込んだ。
肉が裂け、
黒い鱗が砕け、
魔竜の腹に大穴が空く。
アミバが絶叫する。
「魔王様!!」
黒い血が空中に散り、
ザルグの腹には風穴が開いていた。
だが――
ザルグは笑っていた。
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■ 魔竜の罠
「……楽しかったぞ、竜の巫女……」
その声は、勝利を確信した者の声だった。
セレナが息を呑む。
自分の身体に――
無数の透明な水晶体が突き刺さっている。
ザルグの腹から飛び散った破片。
それはただの鱗ではなく、
魔力を蓄積する“呪晶”だった。
次の瞬間――
呪晶が一斉に破裂した。
セレナの身体が衝撃に包まれ、
血の翼が砕け、
意識が闇に沈む。
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■ 魔竜の追撃
気を失ったセレナに向けて、
ザルグは大きく口を開いた。
「まだだ……
《魔導灼炎・ヘルフレアブレス》!!」
黒と赤の混ざった灼熱の魔炎が放たれ、
セレナの身体を直撃する。
爆風が空を裂き、
セレナの身体は――
遥か彼方へ吹き飛ばされた。




