第44話:血海の嵐と最後の賭け
バックスが放った《血刃乱舞・ブラッドレインスラッシャー》は、
空へ向かって一気に広がり――
数千の血の刃となって上空へ放たれた。
赤黒い光が空を覆い、竜騎兵たちの影がその中で揺らめく。
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■ 親衛隊の絶望
クラッシュが叫ぶ。
「防御結界張れ!!」
Gとデルタも同時に詠唱し、
三人はそれぞれ魔族最高位の防御結界を展開した。
だが――
血の刃は物理でも魔力でもない。
結界を“概念ごと無視”して突き抜けた。
「ぐっ……!!」
「な、なんで通るんだよ!!」
「痛ぇぇぇ!!」
三人の体に無数の切り傷が走り、血が飛び散る。
そしてその刃は――
アミバとザルグにも容赦なく降り注いだ。
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■ ザルグにも通る刃
アミバが驚愕の声を上げる。
「……! なんだ! あれは!… バ!バックス!!なぜあいつが!」
ザルグも血を流しながら顔を上げた。
「……バックスだと……!」
血の刃がザルグの肩を裂き、胸を貫く。
魔王の肉体が、確かに傷ついていた。
バックスはその光景を見て目を見開く。
「……! あれは……ザルグか!?
半分吹っ飛んでるじゃねぇか……!」
セレナが静かに頷く。
「……私が半分吹っ飛ばした……」
バックスは口元を歪めた。
「……これは……ワンチャンあるか?」
セレナは迷いなく言い切る。
「あるよ……ザルグ、倒せるかも」
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■ 最後の賭け
バックスは喉の奥で笑った。
「……くくく……セレナ……お前はやっぱり面白い」
セレナは肩をすくめる。
「……でしょ」
バックスは懐から一本のダーツを取り出した。
血で染まった、禍々しいダーツ。
「全額お前にベットだ……こいつをやる」
セレナが受け取ると、ダーツは脈動し、赤い光を放った。
バックスは指を鳴らし、血の海をさらに広げる。
「俺が血でお前を飛ばす。
全身全霊で、そいつをザルグに投げろ」
セレナはダーツを握りしめ、紅い瞳でザルグを見据えた。
「……任せて」
血の海がうねり、セレナの足元に集まっていく。
その瞬間――
戦場の空気が一変した。




