第44話:血海の魔王
若返ったセレナの姿を見た親衛隊は、一瞬息を呑んだ。
デルタが目を細める。
「なんだあの赤い奴……」
クラッシュは拳を握りしめ、叫ぶ。
「……バックスだ! バンパイアのネームド!
てかあのババア……なんか若返ってねえか!!」
Gは舌打ちし、魔力を溜め始める。
「……殺るしかねぇ!
《魔獄炎衝・ヘルフレアバースト》!!」
黒紫の炎がGの腕にまとわりつき、爆ぜるように放たれた。
だが――
バックスが一歩前に出て、手を払う。
「《血障壁・ブラッドウォール》!」
赤黒い血が空中に広がり、分厚い壁となって炎を完全に遮断した。
炎が壁にぶつかり、轟音とともに霧散する。
クラッシュが歯ぎしりする。
「……! くそ!! なんだその防御力は!」
バックスはゆっくりと手を広げた。
その足元から――
血が滲み出すように広がり始める。
床一面が赤黒い液体に覆われ、まるで血の海が城を飲み込むようだった。
デルタが後ずさる。
「……血の海……!? マジか……!」
血の海から、無数の刃が立ち上がる。
鋭く、細く、光を吸い込むような赤黒い刃。
バックスは冷たい声で呟いた。
「《血刃乱舞・ブラッドレインスラッシャー》」
次の瞬間――
血の刃が一斉に親衛隊へ向かって飛び出した。




