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婚約破棄された令嬢、辺境でドラゴンを育てる  作者: 木挽
アメリア・エルミナール
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第39話:水晶の王都と黒い影

アメリアとクラリッサは、ふらつきながらも森を抜け、ようやくエルミナの外縁へと辿り着いた。


だが――

二人の目に映った光景は、あまりにも異様だった。


「……エルミナ……?」


王都は、巨大なエメラルドグリーンの水晶体に完全に覆われていた。

まるで円柱状の巨大な宝石が地面から生え、王都を丸ごと飲み込んだように。


アメリアは震える拳で水晶体を殴る。

ガンッ!

だが、びくともしない。


クラリッサも手を当て、目を見開く。

「……これ……魔力の密度が異常……」


水晶の内部には、エルミナの民が固まったように動かず立ち尽くしていた。

まるで時間が止まったかのように。


アメリアは息を呑む。

「……何がおきているの……」


上空には、数十の竜騎兵が円を描くように飛び回っていた。

その影が水晶体に映り込み、不気味な光を放つ。


クラリッサがアメリアの腕を掴む。

「アメリア……なんかヤバそう……!」


その瞬間――


ザッ!


黒い影が二人の背後に現れた。

気づく間もなく、アメリアとクラリッサは両脇から抱え上げられる。


「……なっ!」

アメリアが叫ぼうとした瞬間、影が低く囁いた。


「静かに!」


その声は鋭く、しかしどこか焦りを含んでいた。


影は二人を抱えたまま、信じられない速度で森の奥へ跳躍する。

木々の間を風のように駆け抜け、あっという間に王都の視界から離れた。


やがて影は大木の陰に着地し、二人をそっと下ろす。


アメリアは息を整えながら、影を睨む。

「……何なの……あなた……」


黒い影はゆっくりとフードを外した。

そこには――

長身で鋭い目をした、謎めいた男の姿があった。


彼の表情は険しく、しかしどこか二人を守るような気配をまとっている。


「……説明は後だ。

今は――生き延びることだけ考えろ」


男の声は低く、重かった。


アメリアとクラリッサは、ただその言葉の意味を掴めずに立ち尽くすしかなかった。


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