第38話:目覚めと異変
森の中に柔らかな朝日が差し込み、鳥のさえずりが静かに響いていた。
その穏やかな光の中で、アメリアがゆっくりと目を開ける。
「……クラリッサ、起きて」
隣にもたれかかるように眠っていたクラリッサが、まぶしそうに目をこする。
「……あれ……なんだっけ……?
……あ、生きてる……」
ぼんやりとした声に、アメリアは苦笑した。
「気がついたら、あんたとここで寝てた」
クラリッサは周囲を見回し、すぐに気づく。
二人を包む淡い光の膜――防護結界。
「……防護結界……アーサーの結界だ、これ」
アメリアは胸が締めつけられるような感覚に襲われた。
アーサーとロトが自分たちを置いていった理由が、痛いほどわかる。
その時――
クラリッサがエルミナの方向を見て、息を呑んだ。
「……アメリア、あれ……!」
アメリアも振り返り、目を見開く。
エルミナの空に――
エメラルドグリーンの巨大な柱 が立ち上っていた。
空を貫くほどの光の柱は、脈動しながら王都全体を包み込んでいる。
「……!」
アメリアの心臓が跳ねた。
クラリッサは震える声で言う。
「……なに、あれ……!」
アメリアは立ち上がろうとするが――
足に力が入らず、そのまま腰から崩れ落ちた。
「っ……!」
クラリッサが慌てて支える。
「無理しないで……とにかく行こう。ゆっくりでもいいから」
アメリアは悔しさに唇を噛みながらも、クラリッサの肩を借りて立ち上がる。
「……うん……行こう、エルミナへ」
二人はふらつきながらも、王都へ向かって歩き出した。
その背後で、森の朝は美しく輝いている。
だがその美しさとは裏腹に、エルミナには破滅の光が立ち上っていた。




