第35話:迫る光、迫る魔王軍
街道を駆ける馬の蹄が、夜の静寂を切り裂いていた。
アーサーはクラリッサを背に支えながら、必死に手綱を握る。
「とにかくエルミナに行くぞ!」
その声には焦りと怒りが混ざっていた。
ロトもアメリアを抱えたまま、馬を急がせる。
「団長……あの男、エルミナを固めるとか言ってましたね」
アーサーは歯を食いしばる。
「言ってたな……意味はわからんが……嫌な予感しかしない」
二人は馬をさらに走らせ、王都の灯りが遠くに見え始めたその時――
---
■ エルミナ上空
王都の上空には、すでに魔王軍の影が広がっていた。
アミバの指揮のもと、二千の竜騎兵が巨大な円陣を組み、王都を完全に取り囲んでいる。
アミバは竜の背から号令を飛ばす。
「親方様! 配備完了しました!」
ザルグは空中で腕を組み、王都を見下ろしながら静かに頷いた。
「では……俺の魔力を使い、展開させろ」
アミバが手をかざすと、竜騎兵たちが一斉に魔力を放ち始める。
空気が震え、空間が歪み、王都の上空に巨大な魔法陣が浮かび上がった。
---
■ 街道
ロトが叫ぶ。
「団長!! 見てください!!」
アーサーも馬を止め、空を見上げた。
「くそ……なんだ、あれは……!」
王都エルミナの上空に――
青白い光の膜がゆっくりと広がっていく。
まるで王都全体を包み込む巨大な結界のように。
光は脈動し、空を覆い、夜を昼のように照らし始めた。
アーサーは拳を握りしめる。
「ザルグ……何をする気だ……!」
ロトは震える声で呟く。
「エルミナが……閉じ込められる……?」
青白い光はさらに強くなり、王都全体を包み込もうとしていた。




