第11話:罪の帳
セレナの保護を終えたレオニスは、魔道士団に館内の徹底捜索を命じた。
「この屋敷には、王命に背く証拠があるはずだ。すべて洗い出せ」
魔道士たちは各部屋を調べ、隠し扉や魔力封印の施された収納を次々と発見。
そして、地下倉庫で見つかったのは――
・禁制魔導具
・王都から盗まれた魔法文書
・違法な魔力抽出装置
・封印された魔物の卵
それらはすべて、王都の法により厳しく禁じられている品々だった。
「……これだけのものを隠していたとは」
レオニスは報告書を手にし、静かに言った。
その時、グレゴールが姿を現した。
顔には焦りと怒りが入り混じっていた。
「これはすべて、王子の命令によるものだ!
私個人の意志ではない!」
レオニスは一歩前に出た。
「王命を盾にして罪を重ねたことこそ、最大の背信だ」
彼は魔道士団に命じた。
「グレゴール・グランディールを、監禁・禁制品所持・魔力違反の罪で連行する」
衛兵たちは動き、グレゴールは抵抗する間もなく拘束された。
セレナはその光景を見つめながら、静かに言った。
「これが、終わりなのね」
レオニスは彼女の隣に立ち、静かに答えた。
「君が立ち上がったから、風が動いた。
この空は、もう誰にも閉ざされない」
その夜、セレナはレオニスの屋敷で安静に過ごした。
ルゥは窓辺で羽を休め、外の空を見つめていた。
そして、王都の空は――
ようやく、自由を取り戻した。




