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第一話 転生

「ふぁぁ、眠い。って、ここは……?」


 ここはどこなんだろうか。初めて見る景色。どこかの町の路地裏みたいだな。それにしてもなぜ中世風なんだ? 僕はテーマパークにでも来ていたんだっけ?


 どんな夢なんだよ。それにしても、このテーマパークは産業革命直後のイギリスでもモチーフにしているんだろうか。道にはたくさんゴミが落ちてるし衛生環境も見るからに悪そうだし……。まあ、そんなことよりも眠い。


「てめぇ、ふざけてんじゃねえぞ!」


 どしっ。なんだなんだ。物騒だな。話しかけたいけどなんか危なそうな気配。


「あぁ、ふざけてんのはてめぇだろがこのくそったれ!」


 どん。なんだなんだ! 喧嘩をしているんだろうか、警察さんを呼ばないとかな?


「おい、そこの坊主、ボケっと見てんじゃねぇぞ!」


 誰に向かって言っているんだろう? !? 眠いから動かしたくないんだけれど体はそれに反して動く。少し顔を横に向けて上を見ると北海道で見たことのあるツキノワグマに酷似している大男が今まさにこちらへと迫っていた。

 するとなぜか次の瞬間、僕は走り出していた。やばいやばい。本能が叫んでいる。頭は全然動じていないんだけれども。なぜだろうか。ただ、この体が本能的に走り出したことだけはわかる。


「ちっ、あの坊主……」


 よかった。殴られずに済んだ。というかなんでこんなところにいる? というかなんか足早くないか? ってなんか視線低い! ん? なんか手も小さくないか。どういうことどういうこと!! え? 僕、体変わっちゃったの? って体が自由に動かない!


「おいおい、あんまよそ見すんなよっ!」


 どんっ。怖いなぁ。殴り合う音はどんどんと遠ざかっていく。とりあえず人がいない場所までこれたみたい。よかった。というか、この路地どれだけ続いてるんだよ。もう、ここまで来たら大丈夫じゃないかな。


 ……じゃなくて、まずは原点回帰しましょう。ここはどこなんだろう? なんであんな毛むくじゃらな熊みたいな大男がいるんだ? ツキノワグマみたいっていうのは、文字通り本当に熊みたいだったんだよ。人間ではないみたいに見えた。あの毛を触ったら、気持ちよさそうだとは思ってしまったくらいには。


 緊張が解けたからか、徐々に体が自分の意志で動くようになってきた。


 で、結局ここはどこなんだろうか。まず、僕は最後どこにいたんだっけ? たしか、覚えている最後は……。家でスマホを触ってた? 学校で雑談してた? 一人旅をしてたっけ? おかしい、あれ? 何も思い出せない。まあいっか。とりあえず眠いし、今は走って疲れたから寝るか。おやすみ。



 ……じゃないだろ! なんでなんで、え? というかどういう状況? なんかやばすぎて眠気冷めてきた。ひょっとして僕、だいぶやばいのでは?


 とりあえず、感覚がやけにはっきりしているからないかもしれないけれど、これは夢ではないのか。きっと夢だ。

 そんなあり得ない希望を持ちながら頬をつねってみると、しっかり痛い。


 やっぱり夢じゃないか……。夢じゃないなら、スマホスマホ。ウェブ版地理院地図で確認しよう……。ってない! あれ? ハンカチもないし。というかそれ以前にこの服にポケットなかった。


 とりあえず、現状を整理しよう。まず、記憶はない。正確にはあるけれど、直近のことは思い出せない。次に、なんか体が小さい。明らかに覚えている自分の体ではない。っていや記憶はいいとしてここはおかしいだろ。と、突っ込みを入れるのはあとにしよう。

 ふぅ、深呼吸深呼吸。って、まるで砂をそのまま食べてるみたいな味だ。めっちゃ空気汚いな。


 話を戻して、ここはどこかもわからないと。うん、これは……僕の知識を総動員すると……


 どうやら僕は――


 小さな少年に転生したらしい。

 ……え、どうすんの?

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