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未だ海の日

作者: Ale Kanno

砂場に一人いると、無性に孤独となる

少し離れたところから聞こえる歓声が、より私を孤独にする

いくら砂で作っても、型どっても、誰も知らないみたいに空虚なままごとが煮込まれていくようで

威張る父親も

圧政的な母親も

きっと私を連れていってはくれないの


ひび割れた砂の人形みたいに

些末に崩れる私は

あの波にさらわれて、遠くへ運ばれるそれを

羨ましく思うのだった


未だ だめな私は 


砂の上に ひび割れた卵の殻を置いた


少し押しつけるように 割れぬよう慎重に


ひび割れた卵の殻を置いた


波の打つ音 叩かれる私 孵化もしない





まだ拒絶する砂の上に ひび割れた卵の殻を置いた


少し盛り上がる砂の上に 押し乗せて


割れぬように ひび割れた卵の殻を置いた


風の強い日に私は生まれた



右目に砂が入っても また海に行きたいねとねだる

口に砂が入っても また海が見たいねと甘える

掻いた頭から 砂がぽろぽろこぼれる

足の指の間にこびりついた砂を水で流す



ねえ

子どもみたいな役目をした私が

「◯◯ちゃんのお家はみんなで海に行ったのよ」って言う


ゴードンみたいなパパが

「よし。それじゃあ次の日曜日はみんなで海に行こう」

なんて言う


チャールズみたいなママが

「とびきり美味しいサンドウィッチも持って行きましょう」

なんて言う



砂上のままごとを払って立ち上がると


ひび割れた卵が波に轢かれて消えていった




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