閑話:芽生えつつあるなにか
「ふう……今日も学校めんどくさかった」
自分の部屋で一息つき、私はベッドに寝転んだ。
今日も大変だった。朝からアムルがうるさいし、ハルカは抱きついてくるし、ハッピーに追いかけ回されたし、みゆに甘えられたし、青柳さんに迷惑かけちゃったし。
でも楽しかった。あの五人と一緒にいるのは居心地悪くないし。
「……ん」
寝っ転がりながら背伸びして、私は思い出す。
アムルに揶揄われた間接キス。
ハッピーに振り回され囁かれた、大好きと言う言葉。
胸がキュンっとなって、なんかホワホワしたみゆの甘える宣言。
頼りになって、全部を預けたくなる青柳さんの包容力。
めちゃくちゃイチャついてきて、私にデレデレしてくるハルカ。
この三日間で、印象に残るイベントがたくさん起きた。
全部友達とのイベントだけど。
いや、本当にそうだったかな。友達との付き合いにしては、なんかやたら濃厚だった気がする。
変に心臓がドキドキして、恥ずかしさとは違う照れ臭さがあって。相手のことを深く意識してしまうような、そんな感じだった気がする。特にアムルが。
「……あはは、何をバカなことを」
自分の頭をテキトーに叩いて、私は立ち上がり、部屋を出た。
向かう先はリビング。にある冷蔵庫。
「……あ」
ふと、電源が落とされているテレビの真っ暗な画面が目に入った。
それをきっかけに思い出す。先日の占い番組の言葉を。
一週間以内に彼女が出来るでしょう、という占い結果を。