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第21話:守る決意

次の日、学校はいつもと変わらない平穏な日常が流れていた。クラスメイトたちはいつものように話し、笑い合い、授業に集中していた。だが、櫻井凪人の心の中は、昨日の出来事が大きく影響していた。


「また頼ってもいいかな?」


美月があの時に発したその言葉が、ずっと凪人の中で響いていた。彼女が自分を頼りにしてくれることが、凪人にとっては大きな意味を持っていた。これまで自分を信じてくれる存在などほとんどいなかった凪人にとって、美月の存在は特別なものになり始めていた。


「守る、か…」


凪人は窓の外をぼんやりと見つめながら、そう呟いた。彼は、何も言わずに美月を守るという決意を胸に秘めていたが、どこかでその気持ちが形となり、さらに強まっていくのを感じていた。


その日、昼休みの時間。美月が凪人の席へと近づいてきた。


「櫻井くん、今日お昼一緒に食べない?」


美月はいつもと変わらない笑顔を浮かべながら、軽い口調で凪人を誘った。凪人は一瞬戸惑ったが、すぐに頷いた。


「ああ、いいよ」


美月と一緒に過ごすことが、自然になりつつある自分に気づきながら、凪人は彼女と一緒に教室を出た。


二人は校舎の裏の静かな場所に座り、お互いのお弁当を開けた。美月は楽しそうに話しながら凪人を見つめ、凪人はいつも通り口数少なく答えていたが、その沈黙が気まずいものではなかった。


「昨日のことなんだけど…」


美月が不意に切り出すと、凪人は少し緊張した。昨日、彼女を助けた時のことだろうか。


「櫻井くんが助けてくれたこと、本当に嬉しかった。私、あんな時どうしたらいいかわからなかったから、すごく安心したんだ」


美月は真剣な表情で凪人を見つめていた。彼女の瞳には、感謝と少しの不安が混じっているように見えた。


「俺は、ただお前を守っただけだ。誰でもそうするさ」


凪人は軽く答えたが、美月は首を横に振った。


「でも、そんな風に言えるのがすごいと思うよ。私、櫻井くんみたいに誰かを守れるような人になりたいな」


その言葉に、凪人は少し驚いた。自分が美月にとってそんな存在になっていることに気づかされ、彼の心に新たな感情が芽生えた。


「お前には、もうその力があるさ。お前はみんなを助けてるじゃないか」


凪人は無意識にそう答えていた。彼にとって美月は、すでに誰かを助けることができる強さを持っているように見えていた。彼女の明るさや優しさが、周囲の人々を癒していることを、凪人は感じていたのだ。


美月はその言葉に少し驚いたが、すぐに笑みを浮かべた。


「ありがとう、櫻井くん。そう言ってもらえると、すごく嬉しい」


二人はその後、穏やかに昼休みを過ごし、再び教室に戻っていった。


放課後、美月は優奈にデートの話をしていた。優奈は興奮した様子で、二人の様子を聞いてきた。


「それで、それで!デートはどうだったの?」


優奈は笑いながら身を乗り出し、まるで恋愛ドラマを見ているかのような興奮を見せていた。


「すごく楽しかったよ。でも、帰りに少し怖いことがあって…」


美月は昨日の出来事を簡単に説明した。優奈は心配そうな顔をしながら、凪人が助けてくれたことに感動していた。


「やっぱり櫻井くんは頼りになるよね!でも、美月、大丈夫だった?怖くなかった?」


「うん、正直少し怖かったけど、櫻井くんが来てくれたから…本当に安心した」


美月の言葉に、優奈は安心したように頷いた。


「うーん、やっぱり櫻井くんってすごいんだね。見た目は怖いけど、すごく優しいんだよね」


優奈の言葉に、美月は小さく頷いた。彼女にとって、凪人はただのクラスメイトではなく、特別な存在になり始めていた。


その夜、凪人は自宅で考え込んでいた。美月と過ごした日々が、少しずつ彼の心に変化をもたらしていた。


「守るって…そういうことか」


彼は美月のために何かできることがあれば、それを全力でやろうと思っていた。そして、それがただの義務感や責任ではなく、もっと個人的な感情から来るものであることに気づいていた。


「俺は、お前を守るためにここにいる」


そう心の中でつぶやきながら、凪人は美月との次の出会いを楽しみにしていた。


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