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第16話:テスト結果と新たな気持ち

テスト結果が掲示される日、学校中がざわついていた。生徒たちは成績表を確認しようと、掲示板の前に集まっていた。


「どうだったんだろう…」


凪人は、特に緊張することもなく、ただいつものように結果を確認するために掲示板の前に立った。彼にとって成績は、よくも悪くもなく「中の上」であればそれでいいという意識だった。


掲示板には、上位から順に名前が並んでいる。凪人は自分の名前を見つけた。真ん中より上――彼にとっては予想通りの結果だ。


「…まあ、こんなもんだろ」


凪人は掲示板から目を離し、ふと美月の名前が目に入った。


1位――それは、当然の結果のように見えた。


「やっぱり、美月はすごいな」


凪人は内心感心しながら、美月の名前をじっと見つめていた。


「櫻井くん!」


後ろから、美月と優奈が駆け寄ってきた。美月は笑顔で凪人に声をかけ、彼の成績を確認しようとした。


「どうだった?」


凪人は少し困ったように肩をすくめ、掲示板を指差す。


「まあ、真ん中くらいかな」


「うん、櫻井くん、頑張ったね!ちゃんと結果が出てるよ!」


美月は微笑んで凪人を励ました。凪人は少し照れくさそうに感じながらも、彼女の優しさに感謝していた。


「…そっちは1位か。さすがだな」


「ありがとう。でも、今回はちょっと運が良かったかも」


美月は控えめにそう言ったが、実際は彼女の努力の結果だったのは明らかだった。


「ところで、優奈はどうだった?」


凪人が優奈に目を向けると、彼女は掲示板の下の方を指差して、苦笑いを浮かべた。


「えへへ…やっぱり、下の方だったよ」


予想通り、彼女の成績は良くなかったが、優奈はいつもの明るさを失わない。


「まあ、次があるだろ」


凪人が軽く肩をすくめて言うと、優奈は元気を取り戻したように大きく頷いた。


「うん!次こそはもっと頑張るよ!美月がまた教えてくれるし!」


「もちろん、一緒に頑張ろうね、優奈」


美月は優しく笑いながら、優奈に声をかけた。そんな二人のやり取りを見て、凪人も少しだけ安心した。優奈の明るさと美月の温かさが、彼をどこかリラックスさせていた。


その日の放課後、3人は再び図書室に集まった。テストの復習をしながら、それぞれの感想を話し合っていた。


「それにしても、美月ってやっぱりすごいよね!どうやったらそんなに賢くなれるのか、コツを教えてよ!」


優奈は冗談交じりに美月に言った。


「うーん、コツというよりは、楽しくやることかな。好きなことなら自然と続けられるから」


美月はにこやかに答えた。その言葉に、凪人は考え込んだ。


「楽しんで…か」


勉強は、凪人にとってあまり楽しめるものではなかった。だが、美月のように何かを心から楽しむことができれば、彼もまた少しは違う考え方ができるのかもしれないと思い始めていた。


「お前、本当に勉強が楽しいって思ってるのか?」


凪人は不思議そうに美月に聞いた。美月は少し考えた後、静かに頷いた。


「うん。勉強することは、新しい発見があって楽しいよ。もちろん、うまくいかないこともあるけど、それもまた次に繋がるから」


その言葉を聞いた凪人は驚いた。美月は失敗を恐れるどころか、それを次の成長の機会として捉えているのだ。彼は自分が失敗を恐れていたことに気づき、彼女の考え方に共感と感心を覚えた。


「…俺も、少し考え直すべきかもな」


凪人は心の中でそうつぶやきながら、少しずつ前向きになり始めていた。


勉強会が終わり、3人は学校を後にした。


「次のテストまで、もっと頑張ろうな」

凪人は小さくつぶやいた。


「うん!次はもっといい結果が出るよ、櫻井くん」


美月は笑顔で彼を励まし、凪人はその言葉に少しだけ自信がついた。


「…ありがとう。俺ももう少しやる気出してみる」


その言葉に、美月はさらに微笑みを深めた。彼女の言葉が、凪人に少しずつ前向きな気持ちを与えていたのだ。

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