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第15話:テスト

いよいよテスト週間がやってきた。


学校中がピリピリとした緊張感に包まれ、生徒たちは教科書とノートを片手に、いつもより静かな様子だった。廊下でも、友達と遊んでいる姿は少なくなり、誰もがテスト勉強に追われている。


教室内も例外ではなく、クラスメイトたちは自分の席で黙々と問題を解いていた。普段は賑やかな男子も、今は真剣な顔でノートに向かっている。


そして――凪人もまた、ノートと向き合っていた。


「…これで合ってるか?」


彼は鉛筆を手に取り、数学の問題に取り組んでいた。いつもなら適当に流すテスト勉強だが、美月と優奈と一緒に勉強をしたことで、少しはやる気が出ていた。もっとも、彼自身は勉強が得意ではないが、「中の上」の成績を維持するために最低限の努力はしている。


「美月はすぐに答えが出るんだろうな…」


そう思いながら、美月の方に目をやると、彼女は既に次の問題に取りかかっていた。まるで教科書を読むかのように、すらすらと問題を解いていく姿に、凪人は少しだけ感心する。


テスト初日。


最初の科目は英語。凪人にとって英語はそこそこ得意な教科だったが、やはり難しい問題には少し苦戦していた。テスト用紙をじっと睨みながら、凪人はできる限り集中して問題を解いていく。


「…これでいけるだろ」


彼はテスト用紙を埋め終わり、深呼吸をした。ふと前を見ると、美月は既に余裕の表情で答えを見直している様子だった。


「さすが、優等生だな…」


凪人は内心でそうつぶやきながら、自分の答案に目を戻した。


昼休み。


教室はテストの話題で持ちきりだった。誰もがテストの出来を話し合い、次の科目に向けて作戦を立てているようだった。


「いやー、今回の英語、難しかったよな!全然わかんねえ…」


「マジかよ、俺は結構いけた気がするけどな」


そんな会話が飛び交う中、優奈が凪人と美月のところに駆け寄ってきた。


「美月!英語、どうだった?私、もう無理だったよー!」


優奈はテスト用紙を見て、がっくりと肩を落とした。


「そんなに難しかった?」


美月が少し驚いたように優奈を見ると、優奈は深いため息をついた。


「うん、特に最後の長文問題なんて、もう適当に答えちゃったもん。美月は当然全部わかったんだよね?」


「まあ、だいたいは…でも、長文は確かに難しかったかも」


美月は少し控えめに答えたが、彼女の余裕の表情を見た優奈は、またも大きなため息をついた。


「さすがだよ、美月…。私ももっと勉強しなきゃって思ったけど、やっぱり難しいよー」


優奈の悔しそうな姿を見て、凪人は少しだけ笑ってしまった。


「そんなに落ち込むなよ。まだ他の科目もあるだろ」


「そっか、そうだよね!まだ数学とか残ってるし…あ、数学も苦手だ…」


優奈は再び肩を落としたが、美月はそんな彼女を優しく慰めていた。


「大丈夫だよ、優奈。次は私がもう少し教えるから、一緒に頑張ろう?」


「うん、ありがとう、美月…!助かるよ!」


優奈は元気を取り戻し、美月に感謝しながら次のテスト科目に向けて気合を入れ直した。


次の日は、凪人が最も苦手とする数学のテストだった。


「…やばいな、これ」


凪人は問題用紙を見つめながら、冷や汗をかいていた。美月に教えてもらった問題は何とか解けたが、それ以外の問題はほとんど手がつけられていない。


「こんなに難しいとは思わなかった…」


彼は鉛筆を走らせながら、できる限りのことを試みた。後ろからは優奈の小さなため息が聞こえてくる。どうやら彼女も同じように苦戦しているようだ。


「ここをこうすれば、なんとか…」


凪人は集中して問題を解き続け、最後の方で何とかいくつかの問題を解くことができた。これで合格点は取れるかもしれないが、満足のいく結果にはならないだろうと感じていた。


テスト最終日。


すべてのテストが終わり、教室には開放感が漂っていた。生徒たちは一斉に安堵の声を上げ、自由な時間を楽しむように騒ぎ始めた。


「やっと終わった…」


凪人も肩の力を抜き、ほっとした表情を浮かべていた。彼にとって、テストは乗り越えるべき一つの山に過ぎなかったが、それでも無事に終わったことにはほっとしていた。


「櫻井くん、お疲れ様!どうだった?」


美月が笑顔で凪人に話しかけてきた。彼は少し困ったように肩をすくめた。


「まあ、なんとかなるだろ」


「ふふっ、そうだね。櫻井くんなら大丈夫だと思うよ」


美月の笑顔に、凪人は少しだけ安心した。


優奈も教室の端で、疲れた様子で美月に駆け寄ってきた。


「美月ー!私はもうダメだよー!どれもこれもわからなかった…」


美月は笑いながら優奈を励ました。


「優奈、大丈夫だよ。テストはこれで終わったんだし、次はもっと勉強すればいいんだから」


「そうだよね…でも、ほんとに勉強って難しいなあ…」


優奈の愚痴に、凪人も小さく笑った。


「次回はもっと早くから勉強しとけよ」


「うん…頑張るよ…次はね」


優奈は半ば諦めたように笑いながら、3人で一緒に教室を出た。


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