表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黎明記  作者: 蒼樹じゅん
8/28

黎明記~砂漠の章~①


太陽が容赦なく照りつける。

じりじりと肌を焼く気温。

ここは砂漠に現れたオアシス。

夢の国と言ってもいいかも知れない。



私の母は女王様だった。

数多の女性達の頂点に君臨する、美しき女主人。

その姿は美しく、神に等しいとまで言われたらしい。


長く艶やかな流れる黒髪に、褐色の肌。

その肌に薄布を纏い、瑞々しい唇は紅く、手足にはキラキラと輝くたくさんの装飾品をつけていた。


誰よりも気高く、誰よりも美しく、誰よりも愛され、そして誰よりも孤独だった、そんな母の姿をいつも見てきた。


ここは王が作った、女達の楽園。

王妃が君臨する、ハレムと呼ばれる愛憎渦巻く宮殿だ。


王が愛した女達を集め、世継ぎを作るために住まわせた。

世継ぎとなる男児を産んだ女は、妃になるしきたりだ。


たとえ身分が低くても、頂点を目指すことができるのだ。

男児を懐妊すれば。


女達は王の寵愛を受けるため、美と学を磨く。

そして、王に見初められ側に侍り、一夜限りの情けをもらうのだ。


もちろん、きれいごとだけではない、そんな世界。



私は世継ぎとなる男児を産んだ、頂点に君臨する母から生まれた。

物事ついた時から、身の回りの世話は誰かにされていた。


ハレムには、妃以外にも女がたくさんいた。


それは、私のように妃となった女が産んだ、女の子供。

男児は世継ぎとなる可能性があるが、女児の場合は、世継ぎ争いに巻き込まれることなく、ハレムで大切に育てられた。

成長すると、王の側近の誰かの元に輿入れすることが常だった。


他には奴隷市から買われてきた奴隷。

主に女の身の回りの世話をするのに、買われた少女が多いらしい。

奴隷身分だとしても、王の目に留まれば妃になれるのだ。


妃になれなかった奴隷は、ハレムで女主人に仕えながら一生を終える。

主人によっては、読み書きや礼儀作法を教えるものも多いので、意思の疎通ができない奴隷は少なかった。


あと、女とも男とも言えないものもいた。

もとは男性だったが、なんらかの罪を犯して去勢されたもの。

または、尊きひとに仕えるため、間違いが起こらないようにと去勢されたもの。

それは、宦官と呼ばれていた。


力がいる厨房や、洗濯、また王との連絡役として、彼ら(?)がハレムには常駐していた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ