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黎明記  作者: 蒼樹じゅん
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黎明記~宇宙の章~⑤【**視点①】

※これは宇宙の章の番外編のようなものです。




【私】とは違う、【* *】の視点からの内容になります。






ある日の仕事中、私は(ぬし)様に呼ばれて知らない場所に同行することになった。


この方が行かれる場所だ、本来は私などには関係のない場所なのだろう。



此度は一体どのような理由で私を連れられるのだろうか。



考えても私に選択権はないので、言われるがままに支度を始めた。




同行を求められ、着いた広い部屋には、沢山の神々のお姿が見える。


これだけ神々が集まられると、かなりの神気だ。


はっきりいって…空気が重苦しい。





あちらの対象には、私たちの姿は見えていないのだろう。



対象は、肉体ではなく、精神体で召還されたようだ。


その魂は、ふわふわと安定せず、なんと危ういことか。



ふ、と空気が動き、神が言葉を発する。


発する、と言っても直接鼓膜が拾う音ではない。



この空間に、言霊は必要ないのだ。



『お前が犯した規則違反はよく理解しているな』



対象が小さく頭を動かした。



『本来は連れ帰ってはいけない対象を、自分の欲で連れ帰り、無関係だった人間まで巻き込み、輪廻から外してしまったのは重罪である』



『生物は生まれ、死んだ後はなんらかの形で生まれ変わるという規則がある。それをお前は自分の欲で、霊獣の核を破壊しあの場所の護りまでもを消滅させてしまった。それはわかるか?』



いくつもの声が対象に言葉を伝える。



『護りを喪った地場は狂い、生物たちの生態系にも影響を及ぼした。お前が連れ帰ったのは、あの場所を護っていた霊獣だ。あの場に人間の子供がいたのは予想外だったが』



『霊獣は本来、対で存在していたはずだったが、番が不在だったのも悪かった』



ああ、霊獣の片割れが消えた事件の当事者だったのか。



霊場の守護であった霊獣の片割れが消えてしまい、あの場所は生物が住めない土地になってしまったのだと、かの地の神が主様に相談に来られていたのを思い出した。



『お前に指示したモノの失態だ。しかしあそこでお前に自我が生まれたのも予想外だった』



神々が対象を責める。


責める声がいくつも重なる中、主様が言葉を紡いだ。



『お前が犯した罪は重い。しかし、様々な出来事が重なってしまったのも事実。


その一度だけの過ちで、お前を未来永劫輪廻から外してしまうのは、あまりにも酷だと私は思う』



対象の細い肩が震えた。



『ここに集いたる、神々に…伏して願わくば、この憐れな存在に猶予を』



主様が、並ぶ神々に頭を下げられた。



『●●様。責任は何処に』





ある神の言葉が割って入る。



『私がこの魄を導き、私の【影】を目附に。全責任は我等が請け負う』



私の名が詠われる。


此度の同行の理由がようやく理解できた。



私は対象の目附をする責務を与えられたのだ。




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