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黎明記  作者: 蒼樹じゅん
22/28

**黎明記~戦国の章~③

**小姓とのシーンがあります。

ご注意ください。


兄の代わりに軍議に出、近隣諸国との交渉を行う。

氏輝の名前でしているように見せかけて、実際は母がそれらを取り仕切っていた。


母の補佐は2年ほど続いたと思う。

私たちは16になっていた。




身の回りの世話をするのも、乳母から小姓に変わっていった。


私より歳上の小姓は、ほかの者よりも気性が穏やかで、いつもさりげなく世話を焼いてくれる。


彼が連れてきた、幼い少年も一生懸命仕えてくれ、私は自室で一時の安寧を感じることができていた。



そのふたりとは別の、『庵樹』と名乗った美しい小姓は閨事に長けており、私は酒の勢いで彼と契りを交わした。


女性の柔らかな(はだ)はいまだ知らないが、どこぞの寺にいたという庵樹は、男ということを忘れてしまうほどに美しく、高い声で鳴く。


それは庇護欲をかきたてるが、同時に組み敷いて、めちゃくちゃに泣かせてやりたい…という、男の獰猛さを煽ることにもなった。


寺小姓をしていた庵樹は、自身の出生について多くは語りたがらないが、その美貌ゆえに寺に預けられた…という。


坊主の慰みものとして幼少期を寺で過ごし、復讐心と野心を胸に秘めて日々を過ごしていたのだろう。



父の法要に来た坊主についてきた折り、母に見初められてこの邸にやってきたそうだ。


『庵樹の野望はなんだ?』


『御館様のような、立派な武士になることです』


褥に侍りながら、庵樹は艶っぽく微笑して、そう答えた。



単を脱ぎ、私の腰帯に手を回しながら、クスクスと笑う。


『野望、などという大胆なものではなく、夢物語ですが』


盃の酒を飲み干したら、口を吸われた。

紅を塗っている訳ではないのに紅い唇は、酒でてらてらと光っている。


武将の主人に対して、自分から仕掛けてくるとは大胆なものだ。


『御館様、今宵もお情けを…』


『わかった』


解かれかけていた帯を引き抜き、単を脱ぎ捨てると、乱暴に庵樹の細い体を組み敷いた。


日に焼けていない白い脚や、長く伸ばした黒髪が、母を彷彿とさせる。


私は自分の叶えることができない欲望を、庵樹の身体にぶつけることで性欲を発散させた。


ああ、母上…。

どうして貴女は、私の母上なのだ!



嫌がり逃げようとする細い腰を両手で押さえつけ、猛った分身を庵樹の胎内に侵入させる。


背後から蹂躙しながら、うなじに口づけた。

激しく悶える庵樹の長い黒髪が、白い背中に広がる。


仰け反った白い首筋に、乱暴に歯をたてながら、妄想の中で己の母親を犯し続けた。



しなる背中に、淫らに広がる黒髪に、高く上がる矯声に、それらの全てに母を…父に『かつら』と呼ばれた女を重ねて、何度も何度も庵樹を抱いた。


父に嫉妬し、母に劣情を抱きながら一時の快楽に身を任せたのだ。



そうして、溜まった欲望を庵樹の中へと吐き出し、自分の愚かさを呪うのだった…。




『若様、最近酷くはありませんか?』


そんな私の愚行を諌めるのは爺と、幼い頃から共に育った側近とも兄とも言える男だった。


彼は父の代から今川に仕えてくれている一族の嫡男だ。


幼い頃から、爺の剣術を、そして戦術を共に叩き込まれた。


『ああ…そうだな』


立て膝で、侍る庵樹を撫でながら適当に返事をした。


酷いのは自分でも重々わかっている。

それでも、暴れる己の欲望は何処かに吐き出さなければおさまらないのだ。

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