**黎明記~戦国の章~③
**小姓とのシーンがあります。
ご注意ください。
兄の代わりに軍議に出、近隣諸国との交渉を行う。
氏輝の名前でしているように見せかけて、実際は母がそれらを取り仕切っていた。
母の補佐は2年ほど続いたと思う。
私たちは16になっていた。
身の回りの世話をするのも、乳母から小姓に変わっていった。
私より歳上の小姓は、ほかの者よりも気性が穏やかで、いつもさりげなく世話を焼いてくれる。
彼が連れてきた、幼い少年も一生懸命仕えてくれ、私は自室で一時の安寧を感じることができていた。
そのふたりとは別の、『庵樹』と名乗った美しい小姓は閨事に長けており、私は酒の勢いで彼と契りを交わした。
女性の柔らかな膚はいまだ知らないが、どこぞの寺にいたという庵樹は、男ということを忘れてしまうほどに美しく、高い声で鳴く。
それは庇護欲をかきたてるが、同時に組み敷いて、めちゃくちゃに泣かせてやりたい…という、男の獰猛さを煽ることにもなった。
寺小姓をしていた庵樹は、自身の出生について多くは語りたがらないが、その美貌ゆえに寺に預けられた…という。
坊主の慰みものとして幼少期を寺で過ごし、復讐心と野心を胸に秘めて日々を過ごしていたのだろう。
父の法要に来た坊主についてきた折り、母に見初められてこの邸にやってきたそうだ。
『庵樹の野望はなんだ?』
『御館様のような、立派な武士になることです』
褥に侍りながら、庵樹は艶っぽく微笑して、そう答えた。
単を脱ぎ、私の腰帯に手を回しながら、クスクスと笑う。
『野望、などという大胆なものではなく、夢物語ですが』
盃の酒を飲み干したら、口を吸われた。
紅を塗っている訳ではないのに紅い唇は、酒でてらてらと光っている。
武将の主人に対して、自分から仕掛けてくるとは大胆なものだ。
『御館様、今宵もお情けを…』
『わかった』
解かれかけていた帯を引き抜き、単を脱ぎ捨てると、乱暴に庵樹の細い体を組み敷いた。
日に焼けていない白い脚や、長く伸ばした黒髪が、母を彷彿とさせる。
私は自分の叶えることができない欲望を、庵樹の身体にぶつけることで性欲を発散させた。
ああ、母上…。
どうして貴女は、私の母上なのだ!
嫌がり逃げようとする細い腰を両手で押さえつけ、猛った分身を庵樹の胎内に侵入させる。
背後から蹂躙しながら、うなじに口づけた。
激しく悶える庵樹の長い黒髪が、白い背中に広がる。
仰け反った白い首筋に、乱暴に歯をたてながら、妄想の中で己の母親を犯し続けた。
しなる背中に、淫らに広がる黒髪に、高く上がる矯声に、それらの全てに母を…父に『かつら』と呼ばれた女を重ねて、何度も何度も庵樹を抱いた。
父に嫉妬し、母に劣情を抱きながら一時の快楽に身を任せたのだ。
そうして、溜まった欲望を庵樹の中へと吐き出し、自分の愚かさを呪うのだった…。
『若様、最近酷くはありませんか?』
そんな私の愚行を諌めるのは爺と、幼い頃から共に育った側近とも兄とも言える男だった。
彼は父の代から今川に仕えてくれている一族の嫡男だ。
幼い頃から、爺の剣術を、そして戦術を共に叩き込まれた。
『ああ…そうだな』
立て膝で、侍る庵樹を撫でながら適当に返事をした。
酷いのは自分でも重々わかっている。
それでも、暴れる己の欲望は何処かに吐き出さなければおさまらないのだ。




