黎明記~砂漠の章~⑨【**視点①】
皇女であった彼女とは違う、**視点のお話です。
『今日からあなたをハレムの皇女様の側仕えとして教育いたします。今までの生活は捨てておしまいなさい』
高く凛とした声に顔をあげると、美しい女性と目があった。
先ほどまでいた、埃っぽく臭い場所とは違う、きらきらした空間。
そこには、美しい女性と、側に立つ兵士が2人。
『皇女様のお側にお仕えするにふさわしい立ち振舞い、言葉を覚えていただきますね。皇帝陛下のお手付きになる可能性もありますから、どこに出しても恥ずかしくないように厳しくいきますよ』
『はい』
小さく声を出す。
『結構』
美しい人の赤い唇が妖艶な笑みを浮かべた。
『わたくしはハレムの側仕え教育を引き受けます○○と申します。あなたの名前を教えてくださいな』
『あり、ません』
今度は横に首を振る。
名前は買い主がつけるものだ。
私たちは、奴隷という存在らしい。
男は力仕事をするため、女は屋敷の下働きや、買い主の慰みものになるために、その場所にいた。
暴力はなかったが、主人の言葉がわかるよう逆らわないように教え込まれ、最低限の生活だけが保証された場所で生活していた。
『いいお屋敷や、いい買い主に使っていただけるように励みな』
まとめ役はそう言っていた。
『男は力仕事や汚れ仕事のために、体を強くするのが重要だが、女は違う。力仕事も請け負うことがあるが、基本的には下働きとしての知識や技術も必要だ』
料理や針仕事もできたほうがいい。
そのため、母役の女奴隷からみんな料理や裁縫を習った。
買い主によっては酷い扱いをされることがあるらしい。
『主人をお慰めするための手管も必要だ。女たちはそれも学ぶようにな』
実践はさすかがになかったが、手順も教え込まれた…。
『では、今日からは**と呼びましょう。オアシスに咲く小さな花の名前よ』
過去を思い出していた私ははっとした。
名前、がつけられたようだ。
『ありがとう、ございます』
その日から同じような年齢の見習いたちと、教育の日々が始まった。
言葉遣いから、立ち振舞い。裁縫や料理。
この国の基本的な状況や、ハレムの内情。
数年、びしばしと側仕え教育を受け、ようやく○○様の許可が出たようだ。
『**、第一皇女様のお側仕えに命じます。あなたなら大丈夫よ。わたくしが保証します』
『御意に』
こうして私は、ハレムに君臨する皇妃様のお嬢様、第一皇女様の侍女としてお仕えすることが決まった。




