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捜索 エピソード1

 早朝。


 朝の6時起床入浴。

 曇りの空の下で、昨夜の電話からアンジェたちは戦闘モードを、実に3年ぶりにしていた。ヨハは後で修理したほうがいいかもしれないが、アンジェたちのような正常な頭部は今現在は製造されていない。

 僕はゆっくりとハムカツと玉子のサンドイッチを頬張った。

 気持ちの上下が僕にはない。

 いつもの日課のテレビをつけようとしたが、手が滑って間違えて云話事町TVのチャンネルを押していた。

 

「おっはよーッス!! 云・話・事・町!! TV―――!!」

「はいっ、藤元 信二です!!」

 美人のアナウンサーがピンクのマイク片手に、曇り空の下でA区の街並みを背景に話し出した。隣の藤元は呑気に空を眺めたりしていた。

「今日は大変おめでたいお話です。3年前の日本全土をひっくり返した野球の試合で、大活躍をした流谷 正章さん(男)がお子様を産みましたーーー!! お子様誕生でーーーーす!!」

 青緑荘というアパートの正面にあるコンビニで、カメラ目線の流谷は照れ隠しに顔を一度、伏せた。

「本当―――に、おめでとうございます。どうですか、今のお気持ちは?」

「……大変、嬉しいです……。妻の梨々りりかも顔が奈々川さんに似ていて、とても嬉しかったです」

 美人のアナウンサーはピンクのマイクで、容赦なく流谷の口の周りを攻めている。藤元は時々、カメラに向かってピースをしたりしていた。

「そうですか。前奈々川首相(晴美の父親)に?」

「ええ」

 流谷は顔を真っ赤にして、恥ずかしいといわんばかりに顔を伏せた。

 妻であろう梨々花という美しい女性が、後ろで赤ん坊をベビーカーに乗せていた。ういういしい新婚カップルである?

「では、それでは今日の天気と運勢コーナーです――」

 

 僕はテレビのチャンネルを変えて、珍しく二杯目のコーヒーとピザトーストと、ハンバーガーをアンジェに頼んだ。

 食後。テレビを消すと、僕は駐車場に降りようと玄関口からマルカを護衛に連れ、エレベーターに向かったが、途中、武装したヨハがついてきた。

「私も同行致します」

 ヨハでは色々と不安なので僕はこっくりと頷いて、武器と弾薬を持ったマルカだけを車で連れて行った。

 まずは原田の居場所を探さないといけない。

 昨夜から九尾の狐の情報をアンジェたちに探させているが、相手がわるいのか日本の全警察署のデータを調べても、名前しかでてこかなかった……。


 云話事町で一番、裏の世界を知っていると言われる人物に会いに、僕は車を走らせた。会社にはアンジェが連絡をしている。

 今頃は仕事を押し付けた河守が大変だろうが、まあいいか。

 後、僕は10年ぶりに拳銃を所持した。

 旧ソビエト軍の正式拳銃マカロフだ。

 昔はよくハト撃ちで遊んでいたけれど、治安が悪くなるとボディガードやアンジェたちだけで身辺警護は十分になっていたので、使わなくなった。

「雷蔵様。ヨハが心配していましたよ」

「……」

 僕は涼しい顔で車を走行して云話事ベットタウンへと向かった。国道6号線と高速道路を乗り換えていけばいい。その人物は云話事ベットタウンから更に東でA区よりの。云話事イーストタウンにいるという。


 そこで、坂本の所在を突き止めて、原田と共にスリー・C・バックアップのデータを奪う。至極簡単だ。金は渡さない。

 閑静な住宅街が居並ぶ云話事ベットタウンの国道6号線を走行中。バックミラー(電子式の液晶ミラー)に赤い点滅が出てきた。助手席にいたマルカが急に銃を持ち合図した。

 遥か後方から猛スピードで、赤い車が走って来た。

「雷蔵様!! スピードを上げてください!!」

 マルカの銃は大型マシンピストル。

 ソ連のスチェッキン・マシンピストルだ。

 赤い車は僕のランボルギーニの運転手側に追いつくと、窓を開けた。中にはノウハウが二体。一体が撃ってきた。

 一体は運転に専念しているようで、もう一体はアサルトライフルを装備していた。

「雷蔵様!!」

 マルカは、ランボルギーニの左窓から、上半身をボンネットの上に乗り出しマシンピストルを撃ち放った。


 大量の弾丸の行き交いで辺りに火花が飛び散る。マルカのマシンピストルの銃撃と赤い車からの銃撃は、周りの一般車両も巻き込まれた。煙を上げる車や横転する車が現れ、各々の車両が急ブレーキをしたりと逃げ出したりと大混乱が起きる。

 猛スピードで走り回る赤い車は車体が弾丸でべこべこになって半壊しているけど、頑丈な作りのようだった。ノウハウはしっかりと走行中の車から体を固定させて撃って来る。アサルトライフルを持つノウハウと、マルカの発砲音で耳が痛い。

 マルカによって放たれた鉛玉が確実に着弾しているノウハウの体から火花がでた。僕のランボルギーニに無数の穴が空いてきた。

 僕の車は防弾の特殊仕様でできているが、アサルトライフルの弾丸は何か特別なのだろう。一発の弾が貫通した。


 僕は腕を怪我して、止むなく対向車線の車を避けながら道端へと突っこんだ。

 停車すると、すぐさまマルカが車から降りると、手榴弾を赤い車の車内目掛けて放り投げた。

 赤い車は爆発し、ボロボロの状態でどこかへと走り去って行った。


 その後、負傷した僕はマルカによって、応急処置をされ近くの病院へと行った。病院で処置を待っている最中。駆け付けた警察官と裁判官も兼ねるノウハウに幾つか質問された。

 だが、僕は当たり障りのないことを淡々と告げた。

 白くL字型の大きな総合病院。云話事・仁田・クリニックには、駆け付けたヨハが心配していた。僕は腕をマルカによって応急処置をされていたが、真っ赤な血だらけの腕を見て、ヨハはその可愛らしい顔に険しい表情を作った。

「雷蔵様~~。大丈夫じゃなさそうで~~す。先生早く来てくださ~~い」

 故障し間延びした声のヨハが、ひっきりなしに患者や医者や白衣のノウハウ、看護婦が行き来する通路で仁王立ちしていた。

 白衣のノウハウをヨハが捕まえた。

「大丈夫ですか? 今、お調べしますね……。失礼ですが携帯を見せてください」

 ノウハウの持つ、手のひらサイズの識別装置で、挿し込んだ携帯を認識している間。僕は通路の長椅子に腰かけた。痛みは酷かったがあまり気にしていない。

 それより、僕はさっきの赤い車は坂本の送った刺客だと思った。

 隣に座っているマルカに赤い車を調べてもらっている。

 マルカは僕の腕の包帯をきつく締めたりしながら、全警察暑のデータバンクと体内で通信していた。


「だから~~。私を~~。連れてって~~~て、言ったのに~~」

 ヨハは白衣のノウハウが僕を奥の診察室に案内するのを見送った。


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