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エピローグ

あの試合から数日が経った。

日本国民は再び晴美さんを首相に選んだ。

でも、僕たちの戦いはまだ終わっていない。

5千万人の老人の介護や援助は国を傾けるほどの問題だ……。

ここはC区の霧島インダストリー社。


晴美さんと僕と夜鶴は、それぞれの席で、興田と道助と満川、特に角竹に話をしにきた。

「試合では勝ちましたが、日本の将来は未だ不安ですね……」

晴美さんは黒の高級なスーツを着てテーブルについていた。小さい溜め息をついたが、すぐに上に顔を向けて、真正面から角竹を見つめる。

僕と夜鶴も向かいの角竹たちを見つめる。

なんだかんだ言って、日本の将来のことを考えているのは、それも一生懸命に考えているのは相手も同じなのだ。

「こうなれば、お互い協力し合うのもいいかも知れないな……。ゲームは何かを失うこともあるが、逆に得るものもあるようだ……」

 角竹はしわがれた声を発した。

「協力してくれるんですか?」

 晴美さんは嬉しさを隠さずに微笑んだ。

「道助の考案した政策……エレクトリック・ダンスとは、スリー・C・バックアップのデータの裏の顔だ。だが、首相の言う通りに人間性というのを少しでも取り入れれば、日本の将来を救うことが出来るのかも知れない」

 興田は額の汗を拭い。

「そんなに緊張しなくてもいいのではないですか……? 私の知る未来は決して明るくはないですが、暗くもないのですよ」

「そうなんですか?」

 興田は穏やかな顔をして聞き返した。

「エレクトリック・ダンスの場合は、人間性を欠けてしまっているだけです。でも、よく考えてください。老人は人間です。例えボケても人間です。小さい命なのではなく、大きな命なのではなく、みんなと同じ命の持ち主です」

 晴美さんは少し悲しく微笑んで、

「ノウハウは人間が産み出した技術の塊です。そのノウハウは機械でもあり道具でもあります。その道具をどう使うのか?それが、今の時代の私たちの課題なのではないでしょうか?」

「そういうのならば……首相は解決策を持っているのでしょうか?」

 角竹は希望を持ちだした。

「……いいえ。持っていません。ですが、これから、私たちみんなが考えて、そして、みんなが行動する。それが、未来への可能性なのではないでしょうか? 人間性はそういうことが大切だからなのです。だから、大切なのです」

 角竹は涙目で大きく頷いた。

 道助と興田は精力的に頷いた。

 僕はふと思った。

 人間だから人間のことを考えるのが、当たり前なんじゃないだろうかと……。


 ヨハは藤元でも直すことが出来なかった。

 このゲームで失ったものもあった。

 それも大きい失いものだ。


 何はともあれ、C区と僕はより良い人間性を持った……。


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