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戦争 エピソード2

 ヨハがアサルトライフルを撃った。

 ノウハウたちが撃ち返す。

 アンジェたちが被弾をしているが、アサルトライフルの弾はノウハウの体を貫通する。45口径のライフル弾だ。ノウハウが倒れていくと、僕は未だ過度に熱せられた頭と心のためオーバーヒートしてエレベーターへと向かった。

 

 エレベーター内。

 少し眩暈がしてきたが、僕は目を力を入れて開けていた。

 河守が入社した時のことを思い出していた。

 面接で僕も立ち会い。

 質問を幾つかしていても、すぐに納得する回答が次から次にでてきて、人事部長も真っ青になって驚いていた。IQが140もあると言っていた。僕は凄いと思ったが、人事部長は頭が良すぎる人物を密かに嫌っていた。だから、僕がなんとか説得をしていると、そんな中、河守が僕を見て笑っていた。

 河守が入社してからは、彼女が笑わない日があまりないなと、思っていると、次第に僕が標的となっていった。

 彼女は何故、僕にそんなことをしているのかと、周りの人々に聞いた時があった。やっぱり出世欲があったからでは。と、周囲の重役たちに言われた。あの時の僕の戸惑いは、一体なんだったのだろう?でも、僕は晴美さんのことを考えて、日々を過ごしていたんだ。

 

「雷蔵様。もうやめましょう」

 隣のヨハが心配顔をしていた。

「敵は今のところ霧島インダストリー社の興田 守様だけではないですか。そんなにボロボロになってまで関係ない人を殺さなくても……」

「……ヨハ……?」

 僕は驚いた。

 そういえば、ヨハには感情のような心のようなものが、どことなくあるみたいだ。

「ヨハ……君は一体?」

 高速エレベーターが180階で止まった。

「雷蔵様!!」

 突然、大きな音の後、アンジェが僕を庇って先に倒れた。

 その次はヨハとマルカ。

 僕は驚いて起き上がり前方を見ると、対戦車用ライフルを構えたノウハウが5体佇んでいる。


 その間に三人の男と一人の女がいた。大きなフロアで、外には深海に建つかのようなビルディングが見え、部屋の中央には会議用の20人使用のテーブルがあった。

「君が雷蔵さんだね……」

 この男が興田 守だろうか?

「社長。例の件での男です」

「ふむ……」

 興田 守は50代の男で、高級なスーツの小柄な体躯で白髪が目立った。その隣には老人だがどこかはつらつとした感じの長身の男がいた。

 霧島インダストリー社社長の角竹かくたけ 徹郎てつろうだ。確か今年で71になる老人だ。

「この計画には君が死ななければ、成り立たないようだね」

 角竹が言った。

「そのようですわね……」

 一人の女は満川 静香。秘書のようだ。

「エレクトリック・ダンスでなければ、この国は衰退するというのに……」

 もう一人の男は解らない。若い男で年齢は20代だ。

「アンジェ、マルカ、ヨハ……」

 僕は倒れたアンジェたちを見た。


 三人とも腹部に透明な色の液体が大量に滲み出ている。腹部を撃たれたようだ。目を瞑って身動きしない。

「君だけ、ここへ来てくれ。君が死ぬ前に少しだけ話そう」

 角竹がしわがれた声を振り絞った。

 僕が赴くと、

「雷蔵さん。武器は置いておいて下さいね」

 美人で20代前半の満川が武器を床に置けと言った。

 僕は武器を床に捨てると、四人のいる大きいテーブル付近へと近づいた。

「最初に聞いてみるけど、エレクトリック・ダンスでなければこの国が成り立たないのは?」

 僕はアンジェたちが心配だが、大きな運命の前に欠伸がでていた。

「ふふ……。簡単だよ」

 角竹が呟いた。

 知らない男が前に出て、いきなり僕の腹に一発拳を入れる。僕は血を吐いて倒れた。傷口が開きだしたことと体中の激痛のために眩暈がしたが、僕はゆっくりと起き上がった。

「話してやりなさい」

 角竹が知らない男を宥めた。


 興田が話し出した。

「エレクトリック・ダンスっていうのは、簡単に言うと政策だ。この若い男が考案した」

 興田は一呼吸置くと、

「老人のリサイクルのようなものだよ。だが、そうでもしないとこの国は滅びる。当たり前だが、人間が人間を介護するのだから金がかかる。そこでノウハウが介護に介入するのだが、前奈々川首相のノウハウを使った老人福祉は実は金がかかるのだよ……。現奈々川首相のノウハウにスリー・C・バックアップを用いた政策は論外。莫大な金がかかるんだ……。しかし、このC区やB区は日本の発展を日々、目指さなければならない」

 そこで、興田は若い男の肩を叩き。

「この男は政治家だ。この男によってこの国は救われるんだ」

「救われる?」

 僕は血が体からゆっくりと流れていることを悟った。

 傷が開いて止血剤の効果も切れたのだろう。


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