【第二話】自殺願望のある賢者
「廃人スローライフもここまでか…」
賢者に選ばれてしまった…
賢者に選ばれたからと言って『死にたい』『消えたい』などの思いは浄化されるわけではない。
視線が痛い。消えたい。消えてなくなってしまいたい。
賢者になったら、パーティーで活躍しないといけない
賢者になったら、魔王を倒さないといけない。
賢者になったら、どんな困難にも立ち向かって行かないといけない。
賢者になっても、俺はそんな重圧に耐えられる気がしない。
賢者だからと、パーティーへの勧誘が止まらない。
それは決して、俺に需要がある訳ではない。
もし俺が賢者じゃなかったら、俺のことなどどうでもよかったのだろう。
「お前、今死にたいと思ってるだろ?」
思わず声がしたほうを見た。
そこには、片手にアイスクリームを持った少女が立っていた。
俺は聞いてみた。
「なんでわかるんですか?」
少女はこう答えた。
「お前がまともそうだから。」
「…?」
「お前は『こうであるべきだ』に囚われすぎだ。」
何となく、言いたいことが分かった。
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
少女は少し考えてこう言った。
「僕のパーティーの雑用係を一生懸命にやれ!さすれば道は開かれよう!」
雑用か…エリートパーティーのリーダーよりも惹かれる内容だ。
活躍しなくていい、魔王を倒さなくいていい、困難に立ち向かわなくていい。
なんて好条件なんだ。
「わかりました。」
そして俺は落ちこぼれFランクパーティーの雑用係になった。
見つけてくれてありがとう!!