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テオドールは二人が出ていったのを確認し、シャルロットが寝ている横に椅子を持ってきて座った。
「久しぶりだね、シャル。今の気分はどうだい?意識が戻って良かったよ。覚えていることはある?…僕のことも忘れたのかい?」
…私とかなり親しいような口ぶりだわ。
「…すみません。自分のことも皆さんのことも誰も覚えておりません。…テオドール…様ですよね?」
「…テオドール様…か。…以前の貴方は、私のことをテオと呼んでいたよ。」
「……申し訳ないのですが、テオドール様とはどのような関係だったのでしょうか。話を聞いていると、私はシャルロットで、男の子は私の子供…。先程の旦那様と夫婦ですよね?」
「そう、今はね…。私の父と貴方の父親、ロレーヌ伯爵とは古い友人でね、父が早くに亡くなってから伯爵が面倒をみてくれたんだ。貴方とは…昔から知っているから幼馴染みたいな感じかな。」
「…そうですか。」
……この人、笑顔だけど目が笑ってないようにみえる…なんか気味悪い…
──コンコン
「失礼します。奥様、スープをお持ちしました。」
「お母様、僕が食べさせてあげるね!…良い?」
また目に涙を溜めて私のことをみてる…
胸が苦しい…
「…えぇ。…お願いしてもいいかしら…?」
「…はい!!!!」
一瞬にしてキラキラと目を輝かせたエリックがかけよってきた。
ふふ、可愛いわね
「奥様、お手伝いしますのでゆっくり起き上がりましょう。」
侍女に支えられ上半身を起こした。
「記憶は戻らないこともありますが、一時的なものだと思います。ただ無理に思い出そうとするのは負担がかかってしまうのでおやめください。では、私は公爵と話してきますので失礼します。…シャルロット夫人、また様子を診に伺いますね。」
「…はい。ありがとうございます。」
テオドール様は、にっこりと微笑み部屋を後にした。




