十字架の杖
マニスは手にいっぱい持ったたんぽぽを頭上にほうり散らす。
「きれ~~い」
マニスは「ね?」とマルーンを見る。手に残っていた一本をマルーンの耳にかざり、きゃっきゃと騒ぎながら土手をあがっていく。
「か~わい~~~」
マルーンはあきれてため息を吐く。
「やれやれ。後先がおもいやられる・・・」
◇武器屋◇
一方その頃。
ギリスいっこうは街へとくりだし武器を調達していた。
とある武器屋から出てくるギリス達。
にぎわいの音が大きく感じられる。
ギリスは立ち止まり、手に持っている物を再び見つめる。
十字型の杖で、ギョクがはめてある。
杖をながめてギリスは言う。
「一級品だ。魔法石ですね?こんなに大きいの初めて見た」
魔法石とは、法力を持っているものが使用できる、証の石の中のひとつ。
ギリスとの相性がいいのは、青い魔法石。
魔法石は、魔物の体内で生成される。
王の証もその一種だ。
普段は法力だけが代価だが、血の契約により、数倍から数百倍の効果を得られる。
しかしそれには、命と心を代価にしなくてはならない。
「血の契約はまだ、お控えを」
「分かっています」
ギリスは出来のいい細工を見ながら、微笑んだ。




