恋人たち
ドレス姿のギリスは、照れくさそうに言った。
「アトシ」
「ん?」
「帰り道、手をつないでくれないか?」
「はい。喜んで」
アトシとギリスは手をつないで、秋葉の森に消えた。
以後、消息は不明だと言われている。
◇場内 控室◇
「お疲れ様でございました」
「うん」
着替えを終え、ドレス姿のマニス。
その姿を示して、サラヤを見る。
「似合うかな・・・?」
「はい、とても。お綺麗です」
「うんっ」
サラヤはマニスの手をにぎった。
マニスの方から、背伸びをしてサラヤに口づけする。
「背をかがめるくらいしろよ」
サラヤはマニスを抱きしめると、くるりとひと回転させた。
「わ~、なつかしい」
きゃっきゃと喜ぶマニスを見て、抱き上げるサラヤ。
「結婚式が楽しみです」
「誰と、誰の、だっけ?」
ふふ、と両者が笑う。
「わたくしめと、マニス様のでございます」
「ギリスたちも、秘密で参加だなんて、なんだか素敵だね」
サラヤは素直に、笑った。
「はい」
「ねぇ、サラヤ?」
「はい?」
「結婚したあとは、どうかマニス様ではなく、マニスって呼んでね?」
【 おわり 】




