三回目の礼拝堂
マニスが降り投げた十字架型の魔法の杖は、電気をはらみながら飛んだ。
それは今までの面々の命が、しみこんでいるかのような飛び方だった。
一番大きな目に刺さった魔法の杖。
そして一拍後、その魔物の巨体は破裂して死んだ。
残ったのは、すでにこぶしほどの大きさの赤い石。
それを拾い上げ、キヨバはギリスさまマニスさま、と言った。
「きっとどちらかが、王になられる・・・」
そう呟いて、持っている石を示すかのようにしばらくキヨバは動かなかった。
サラヤがそれに気づき、そしてキヨバに近づいて首の脈をはかった。
溜息をはくと、少しかぶりをふる。
「死してなお、立っておられる・・・あなたは戦士の中の戦士だ。わたしは認むる」
呆然と立ち尽くしているヨハンに、サラヤは言った。
「次の三回目の礼拝には出席しろ。きっと声が聞こえる」
「声・・・?」
突如虚脱したのは、マニスで、それを支えたのはヨハンだった。
◇樹海の礼拝堂◇
三回目の礼拝堂。
この礼拝をすませば、樹海の旅も終わる。
ギリスはアトシに支えられて。
マニスはヨハンに支えられて。
代行として、サラヤが卓に今まで集めた赤い石を置いた。
そして、生き残った全員での祈りの時。
卓からつむじ風が吹き、今回ばかりは手を合わせているヨハンにも聞こえた。
《お前のうとむその存在は、感覚で子に名をつけるほどには母性がある生物 也》




