テツロウの活躍と死
タコのような蝕腕にくるまれるように捕まり、空中に浮くキヨバ。
「隊長っ」
「隊長っ」
くるまったその蝕腕に力が籠められ、きしんだ声がキヨバから出た。
あわや、その蝕腕を、サラヤが切り落とす。
魔物の、いくつもある小さな目がまばたきをはじめる。
「うひゃー。き、もっちわるー」
テツロウがそう言うと、斬りにかかった。
その魔物の肉は思った以上にかたく、そして弾力のあるものだった。
大きな目が半目になる。
跳ね返されるように飛び退ることになったが、少しは向こうが傷を負った。
そうしていくうちに、ギリスとマニスが叫ぶ。
「「一番大きな目だっ」」
全員が弾かれたように気づく。
「そういうことかぁ。気づいたぜぇ。一番大きな目が閉じてる時に身体がかたい」
「弱点はきっと、あの一番大きな目だっ」
「魔物の決まりぃ」
「魔物には、必ず特製として弱点がある」
横にふりみだされた魔物の蝕腕がせまってくる。
それを避けきれず、剣で受け止めながら吹き飛ぶテツロウ。
なんとか体勢を持ち直し、傷つけ続けてまだつながっている腕にのぼる。
そして魔物が一番大きな目を見開いた瞬間、その剣をふりおろした。
飛びかかったテツロウの剣は、確かに一番大きな目のまぶたと眼球を傷つけた。
そして着地したテツロウの胴体は、蝕腕の先に貫かれていた。




