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戦士
ふたりは微笑しあった。
ジョエルが言った。
「うしろ・・・」
アンドリューが言う。
「分かってる・・・うしろに、何か、いる・・・」
「アンドリュー、報せに行ってくれ」
「ジョエル・・・」
「いいから、早くっ」
アンドリューはうしろを振り返り、その影がなんなのかを知って走りだした。
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「非常事態っ、化け物がでましたっ。お起きくだされっ」
アンドリューの叫びに、ジョエルの元へ武装してかけつけたマル―ン隊は唖然とした。
少し離れた足元を見る。
「血しか、残って・・・ない・・・」
「この飛び散り方・・・」
「ジョエル・・・」
「すまない。ヨハン殿は呼ばなかった・・・正直、ひとりでの対抗はムリだと・・・」
「それ以上の言葉は・・・今は、いりません・・・きっと、ジョエルも・・・」
「姿を・・・見たのですか?」
「化け物だ」
「どんな?」
「目がたくさんある、タコみたいな足を持ってる化け物だった・・・」
「タコ・・・」
アンドリューは強く弱弱しい声で言う。
「わたしは、タコが悪魔の魚だと思っていたが、本物の化け物を見た今、なんでもない」




