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よもやきょうだいを討とうとは
『やあっっ』
前方にいた三人が斬られ、倒れる。
腰を抜かした仮面をつけた者が、じりじりとうしろへと退って行く。
「待て、待てっ、話せば分かるっ。私は女だっ」
仮面を取ると、その人物は確かに女だった。
「見逃してたもれっ」
「よもやきょうだいを討とうとするとは・・・」
「ギリスは王位継承権を持っている者の中で、一番の稀代っ、嫉妬する気持ちも分かるだろうっ?なっ?なっ?」
マルーンは言い切った。
「分からぬ」
言葉を失くす姫。
「おのれっ・・・おのれっ」
姫は後退しながら立ち上がると、茂みの中へと逃げて行った。
「追いますか?」と、アトシ。
「いや、深追いはするな。あの者にはもう、王位継承権はない。オンエナに帰れるかどうかも分からぬ」
「・・・分かりました。納得したことにします・・・」




