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8話 スイーツ店へのお誘い

 屋上でお弁当を食べ終わった俺と愛理は教室へ戻った。

愛理は汐音と凛の二人の元へと戻っていった。


 俺が自分の席に座ると、学食から戻ってきた聡が俺の隣の席に座る。



「愛理の弁当は食べられたのか?」


「ああ……屋上で二人でお弁当を食べてきた」


「料理の腕はどうだった?」


「すごく美味かったよ。あんなに料理が上手だとは思っていなかった」


「クッ……俺も食べたかったぜ」



 聡が愛理のお弁当を食べたいと言っても無理だろう。

愛理のお弁当は俺専用なのだから。



「きちんと料理が美味しいって褒めたんだろうな」


「ああ……本当に美味しかったから、自然と口から言葉が出たよ」


「それなら良し。女子は褒められると喜ぶからな。褒めないと拗ねられることが多い。とにかく、女子に何かしてもらった時はひたすら褒めろ。それが一番の解決策だ」



 女子って、そんなものなのだろうか。

確かに男女を問わず、誰でも褒められると嬉しいものだが。

女の子に何かしてもらった時はとにかく褒める……覚えておこう。



「後は女子は甘いモノは別腹だ。女子が不機嫌な顔をしていたら甘いモノを食べさすのがいいぞ」



 まだ愛理の不機嫌な顔を見たことはない。

自分でも不思議なぐらい上手くやっていると思う。

女子が不機嫌な時は甘いモノを進呈する……これも覚えておこう。



「上手くやれよ……俺も陰ながら応援するぞ」


「おう……ありがとうな」



 聡はニヤリと笑ってサムズアップする。

俺も笑ってやり返した。



「おい、向こうから愛理達が歩いて来るぞ」


「本当だ。今度は汐音と凛も一緒だな」



 愛理、汐音、凛の三人が俺達に向かって歩いてきた。

三人で歩いてくる姿を見て、俺と聡は不思議な顔になる。

いったい何の用だろうか。


 愛理が嬉しそうに微笑んで俺を見る。



「あのね……今日の放課後の帰りに、繁華街へ行ってスイーツでも食べに行こうって話になったの」



 やはり女の子というのは甘いモノが好きなのか。



「それでね……亮太も一緒に行こうってことになって、今日の放課後、亮太は予定ある?」


「別にないけど……女の子三人と俺一人なの?」


「亮太が一人で不安なら、別に聡を連れてきてもいいよ」


「やったね! 俺、絶対に亮太と一緒に行くから」



 俺より先に聡が行くと決めてしまった。

俺も放課後の予定は何もないから、愛理達とスイーツ店へ行ってもいいけど。

こんな地味男二人と一緒にスイーツ店なんて行って、愛理達は大丈夫なのだろうか。



「本当に俺達二人なんかと放課後一緒にいていいの?」



 すると汐音が胸の下で腕を組んで、俺を見てため息をつく。



「男子なんて、どれもあんまり変わりないじゃん。亮太は少しだけ自信を持ったほうがいいんじゃん」



 凛が腰に手を当てて、俺達を見下ろす。



「本当は女子三人で行こうって言ったんだけどさ。愛理がどうしても亮太を呼びたいっていうから仕方ないじゃん。私達も亮太とは仲良くしていかないといけないしさ」


「愛理……あんまり無茶言って二人を困らせたらダメだよ」


「そんなこと言っても私達付き合い始めて、まだ2日目なんだよ。もっと会ってたいじゃん。それに汐音も凛もいいって言ってくれたもん」


「それだったらいいけど」



 汐音が真剣な顔で俺を鼻先に指を置く。



「もう……亮太はまだ女心をわかってないよ。女の子は好きな男子とはいつでも傍にいたい生き物なの。それを叱ったらダメじゃん。よく覚えておくこと」


「……はい」



 女の子はいつも大好きな男子の傍にいたいもの……これも覚えておかないと。

今まで女子と付き合ったことがないのだから、覚えることが多くても仕方がない。

愛理が俺のことを優しく見つめる。



「それじゃあ、放課後に1階の下駄箱の所に集合ね。遅れちゃダメだよ」


「わかった。午後のHRが終わったら、すぐに教室を出るよ」


「嬉しい。よろしくね」



 そう言って愛理達三人は微笑みながら、俺達の席から去っていった。

俺の横では興奮した聡がニッコリと笑っている。



「これで俺も多賀や京本と近付けるぞ」



 確かに汐音と凛も美少女だ。

美少女三人と一緒にスイーツを食べに行く。

昨日までの俺には考えられない世界だな。



「女子とスイーツ店へケーキを食べに行くなんて、俺も彼女と別れてから久しぶりだぜ。それも美少女ギャル三人。たまりません」



 興奮するのはいいが俺の横で、本音をダダモレさせるのは止めてくれ。

昼休憩が終わるチャイムが鳴るまで、聡は俺の隣で興奮したままだった。

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