46話 茜と買い物へ
期末考査テスト範囲が発表された。
今回は、予備校で期末テストの範囲を復習してくれるので楽だった。
聡のフォローもしなくていいのでファミレスでの勉強会はなかった。
あっという間に2週間が経ち、期末考査テストが行われた。
そして期末テストのテスト返却の日、廊下に学年順位50位までの生徒達の名前が貼りだされた。
汐音39位 凛32位 俺は50位に名前があった。
それを見た愛理が嬉しそうに飛び跳ねている。
「やったじゃん。亮太、50位だよ。予備校に行った成果出てるじゃん」
「愛理も今回のテストは俺とほとんど点数変らなかっただろう。愛理も実力をつけてきてるよ」
「うん……あの予備校の先生、教え方上手いし。要点がわかりやすいから」
確かに汐音と凛が通っていた、今は俺達も通っている予備校は、教え方が上手く、要点がおさえられていて、覚えやすかった。
それにわからない所を質問すれば、担当講師の先生が丁寧に教えてくれるから、頭に入り
やすい。
聡も今回のテストでは成績を伸ばして、平均点を上回っている教科も多かった。
「これからの俺は一味違うぜ。大学進学に向けて、俺はやるぜ」
聡はそう言って浮かれている。
皆の成績が伸びて良かったと思う。
これなら俺と愛理も大学受験に間に合いそうだ。
放課後になり、午後のHRも終わった。
俺は愛理に声をかける。
「今日は一緒に帰れない。茜と一緒に用事をすまさないといけないから」
「あら、茜ちゃんと用事なんて珍しいわね」
「ああ……茜と用事で繁華街まで行く」
「丁度良かったわ。私も汐音と凛に誘われていたの。じゃあ、今日は別々ね」
愛理は軽く手を振って、汐音と凛の元へ歩いていった。
俺は自分の鞄を持って、階段を降りて、校舎を出る。
そして校門をくぐって、珍しく自分の家まで直行で帰った。
家に帰ると既に茜が私服姿に着替えて俺を待っていた。
「亮太兄ちゃん遅い。今日は亮太兄ちゃんに付き合ってあげるんだからね」
「わかってる。すぐに着替えるから、少し待ってくれ。今日はありがとう」
俺は二階の部屋へ行き、私服に着替えて一階のリビングへ向かう。
リビングでは母さんと茜が楽しそうに話していた。
「亮太が彼女のクリスマスプレゼントで悩む日がくるなんてね」
「亮太兄ちゃんが、彼女にプレゼントなんて買えるわけないもん。だから私が仕方なく私が一緒についていって選ぶんだから」
「そう言って、茜も亮太に何か買ってもらうつもりでしょ?」
「当たり前よ。何か買ってもらわないと、亮太兄ちゃんと一緒になんかモールへ行かないわよ」
茜は俺からのクリスマスプレゼントを狙っているのか……
俺も所持金は多いほうではないので、そこは考えてほしい。
それから茜と二人で家を出て、駅前の繁華街にあるモールへ向かう。
二人で一緒に出かけたのなんて、茜が小学生の時以来だ。
駅前の繁華街に着き、モールへと入っていく。
茜はアクセサリーショップの中へ入っていく。
女子が好みそうなアクセサリーが大量に置かれていて、俺では判別がつかない。
「他も見てまわりましょ」
茜は張り切って洋服店の中へと入っていく。
可愛い服が沢山並んでいる。
女性客が多く、男子の俺は多くの女性達からチラチラと視線を向けられる。
茜は気に入った服を持って、試着室へ入っていく。
俺は呆然と立っているしかできない。
試着室のドアが開いて、薄ピンク色のワンピースに着替えた茜がにっこりと笑っている。
「亮太兄ちゃん、これ似合ってる?」
「ああ……そうだな。似合ってると思うぞ」
「じゃあ、これ、私へのクリスマスプレゼントね」
金額を見るとセール商品なので半額となっていた。
俺はため息をついて、茜を見る。
「それなら予算の範囲内だ。大丈夫だぞ」
「やったね」
茜は試着室のドアを閉めて、自分の私服に着替えて、試着室から出てきた。
レジで清算をし、ワンピースを袋に入れてもらう。それを茜に渡す。
茜は嬉しそうにニッコリと笑っている。
「これで愛理お姉ちゃんのプレゼントに集中できるね」
「先に自分のプレゼントを買うなよ。資金が足りなくなったらどうする?」
「だから先に私の分を買ったんじゃん」
ちゃっかりした妹だ。
茜はモールにある店を一つ一つ入っては中を見ていく。
俺は通路に立ったまま、茜にまかせっきりの状態だ。
「いいのがあったよ。亮太兄ちゃんも見て」
茜に連れらて、一件のショップに入っていく。
そして茜の後ろに付いて奥へと進むと、赤いバックが置いてあった。
「このバック、可愛いでしょ。今なら半額セール中だから丁度いいわよ」
茜は赤いバックを持って、ポーズを決めたりしている。
なかなか赤いバックが似合っている。
肌の白い愛理には映えそうだ。
「縫製もしっかりしてるし、これなら愛理お姉ちゃんも喜んでくれるよ」
値札を見ると、半額セールの値段で、俺の予算ギリギリだった。
「よし、これに決めよう」
レジに行って清算をすませ、袋をプレゼント用にラッピングしてもらう。
そして俺がラッピングした袋を持って店を出た。
「これで愛理お姉ちゃんと甘い一時を過ごせるね」
「中学生がませたことを言うな」
茜はニッコリと笑って、俺の顔を覗いてくる。
俺はそんな甘い雰囲気なんて期待していないぞ。
ただ愛理の喜ぶ顔がみたいだけだ。
俺と茜は笑顔でモールを出て家へと帰った。




