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41話 体育祭 後編

 昼休憩の時間が終わり、体育祭午後の部が始まった。


 始めは女子生徒達による応援合戦だ。

女子達は各クラスで用意した衣装に着替えて、応援合戦を熱演する。


 愛理、汐音、凛の三人も二年A組にエールを送る。

三人は岡島高校でも知らぬ者はいない美少女ギャル達だ。

その三人が踊って、ポーズを決めて応援するのだから、男子生徒達の視線を一斉に浴びる。


 汐音、凛、愛理の三人は活き活きと応援の踊りを舞っていく。

二年A組の男子達は雄叫びをあげて喜ぶ。


 愛理がチラチラと俺の方を見ているのを感じる。

その度に、俺は大きく手を振って愛理を応援する。


 他のクラスでも女子の応援をもらった男子生徒達は大喜びで盛り上がっていた。

これから始まる体育祭午後の部が楽しみだ。


 女子達の応援合戦が終わり、愛理、汐音、凛の三人が戻ってきた。

顔が少し高揚している。

まだ興奮から覚めていないようだ。



「愛理、きれいだったよ」


「当たり前じゃん。私達が応援したんだから、午後の部も頑張ってくれないとダメだよ」


「ああ、午後の部も頑張るよ」



 男子生徒全員は入場門の裏手に集合して、各クラスで列を作って、グラウンドの中央まで歩いていって、待機する。


 まずは一年生の組体操からだ。

一年生の生徒達は軽やかに組体操をこなしていく。

そして一年生の組体操が終わり、一年生達は退場門から去っていく。


 次は二年生の組体操の番だ。

俺も聡も体育の授業で習ったとおりに組体操を決めていく。

ピラミッドも上手くこなせた。


 三年生の組体操の番なので、二年生の俺達は退場門から退出する。

三年生が華麗に組体操を決めていく。

三年生が一番難易度が高い。


 次は女性達の玉入れだ。

先生達が高いポールの上にカゴを付けて立っている。

その中に柔らかいボールを女子達が地面から拾って投げ入れていく。

クラス対抗で、二年A組の対戦相手は二年C組だ。

僅差で二年C組に負けた。


 次は男子の棒倒しだ。

クラス対抗になっていて二年A組の対戦相手は二年D組だ。


 聡は攻撃側で二年D組の棒へ果敢にアタックしていくが、二年D組の防御は固く、なかなか

棒までたどり着けないでいる。

俺は棒を持って防御する側で、二年D組からの攻撃を迎え撃つ。

次から次へと棒を狙って二年D組の男子達が攻めよせてくる。


 それを俺は棒を守る為人間の壁となって、二年D組の男子達から棒を守ることに集中する。

二年D組の男子達を力で跳ね返す。

二年D組の攻撃は激しく、二年C組の防御が崩されていく。

このままではマズイと思った時、二年D組の棒が倒れた。俺達の勝利だ。


 三回勝負だったが、二勝一敗で二年A組が勝利した。


 クラス席に戻ってくると愛理が俺に飛びついてくる。

俺はそれを優しく受け止める。



「やったじゃん。棒倒し勝ったじゃん。亮太、恰好良かったよ」


「ありがとう。そう褒められると少し恥ずかしいな」



 愛理は俺の両手を握って飛び跳ねて喜んでいる。

汐音と凛も小さく拍手をして、嬉しそうに微笑んでいた。



「聡もよくやったし。さすがは男子って感じだったじゃん」



 聡は褒められてガッツポーズをして喜んでいる。



「二人共、地味だけどやればできるんじゃん」



 棒倒しと地味は関係ないと思うんだけど……


 次はクラス対抗リレーだ。

聡は入場門の裏手の集合場所へ走っていった。

聡が走るのは二番手だ。


 第一走者がスタートする。

スタートでダッシュを決めたのが良かったのか、二年A組は一位をキープする。

そしてバトンは聡に渡った。

聡も必死で走る。

俺達が予想していたよりも聡は足が速かった。

後続に追いつかれそうになりながらも、第三走者にバトンを渡す。

第三走者で二年E組に抜かれてしまった。

アンカーにバトンが渡る。

アンカーは陸上部の男子だ。

スタートから勢いに乗る。

そして二年E組のアンカーを抜かして一位でゴールテープを切った。


 俺も愛理達も大喜びで、クラス全員が盛り上がった。


 最後の種目、学年対抗リレーに参加する二年A組の生徒はいない。

これで体育祭の全種目が終わった。


 閉会式が始まった。

なんと二年の部で、二年A組が総合成績で学年一位となった。

それほど期待していなかっただけに、二年A組の全生徒達が喜んだ。


 担任の先生も喜んで、体育祭が終わった後に、教室で皆でジュースを祝杯をすることになった。



「よくやった。先生も期待していなかっただけに、皆の頑張りが嬉しい。ジュースでも飲んでくれ」



 担任の先生のお褒めの言葉をいただき、クラス全員でジュースを飲む。


 騎馬戦も勝てたし、棒倒しも勝てた。

最後の勝因はやはりクラス対抗リレーで一位をとれたことだろう。

今回は聡の大活躍だ。


 愛理、汐音、凛の三人も聡を祝って、拍手を送る。



「やったじゃん。聡すごいよ」


「聡、少しは見直したじゃん。よく頑張ったわね」


「聡、恰好よかったじゃん。これだと彼女ができるかもね」



 愛理達三人は聡にお祝いの言葉をかける。

すると聡はガッツポーズをして、口を開いた。



「よく頑張ったと思うなら、誰か俺とデートしてくれよ」


「残念、私には亮太がいるから無理」


「私も彼氏がいるから無理ね」


「私も」



 愛理達三人はスッパリと聡の要望を断る。

すると聡が涙目になりながらジュースを一気飲みした。


 俺はそんな聡の肩をポンポンと優しく叩く。

すると聡が俺に抱き着いて、涙目になっていた。


 それ見た愛理達三人は楽しそうに声を微笑んでいた。

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