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28話 愛理とプール②

 愛理と普通のプールで、愛理の泳ぎの訓練をする。

随分と、愛理は顔を水につけられるようになってきた。



「亮太、私、少し疲れたよ」


「じゃあ、プールからあがろうか」



 愛理の浮き輪を引っ張って、愛理をプールサイドまで連れていく。

そして手すりに愛理を捕まらせる。

その間に俺はプールサイドにあがって、愛理が手すりをのぼってくるのを待つ。

地面の上に戻ってきた愛理はホッと安堵の息を吐いている。



「よく頑張ったね。浮き輪があれば、海でも大丈夫だね」


「本当? 私……海に行く前に浮き輪を買っておく。浮き輪なしだと不安だもん」



 まだ愛理は泳ぐことができない。

海での危険性を少なくするためにも浮き輪が必要だろう。



「亮太、今日はありがとうね。本当に楽しい」


「俺も愛理と二人で楽しいよ」


「それじゃあ、これからウォータースライダーへ行こうか。楽しいよ」


「私にできるかな?」


「大丈夫だよ。先に俺が見本を見せるし、下で愛理を待っているからさ」



 愛理は無言で俺の体に抱き着いてくる。

豊満な双丘がムニュっと、俺の体に密着する。

なんて気持ちがいいんだ。

愛理の体から優しくて甘い香りが漂ってくる。

やっぱり愛理の香りは落ち着くな。


 ウォータースライダーの頂上にのぼって、先に俺が降下する。

グルグルとパイプの中を通って、下のプールに着地する。

これは楽しい。


 次に愛理が滑り落ちてきた。

ザブーンと水の中へ着地する。



「これ面白い。もう一度やりたい」


「何回でもしていいよ。俺も楽しいから」



 合計で4回もウォータスライダーをしてしまった。

愛理も絶好調だ。


 ここには4種類のスライダーがある。

まだ1種類をしたばかりだ。

後3種類のスライダーを試しにいく。


 スライダーはどれも楽しく、愛理を喜ばせた。

俺も楽しくて、愛理と笑顔で手を握る。



「私……ちょっと疲れたかも。カフェにでも入らない?」


「俺も少し疲れた。カフェに賛成」



 俺達はプールに設置されているカフェコーナーに向かう。

そして愛理はアイスカフェラテ、俺はアイスコーヒーを頼んだ。


 二人で椅子に座って、窓から見えるプールに視線を移す。

プールには大勢の人達がいて、大人も子供も楽しそうだ。

カップルの数も多い。


 カップル達は腕を絡ませて、体を密着させてプールサイドを歩いている。

どこから見てもカップルだ。



「私達も人からみるとカップルにみえるかな? 見えると嬉しい」


「たぶん俺達もカップルに見えると思う。ちょっと恥ずかしいけどね」


「プールだからいいじゃん。カップルなんだし」


「そうだね……愛理の言う通りだ」



 愛理と二人で、アイスカフェラテとアイスコーヒーを飲み干す。

そしてカフェコーナーから出て、プールサイドを手を繋いで歩く。



「今度はどこへ行こうか?」


「私、やっぱり流れるプールが好き」


「それじゃあ、流れるプールに行こう」



 愛理は自分の力を使わずに流されるプールが気に入ったようだ。

俺も流れるプールは楽だから好きだ。



「亮太、浮き輪を押えていてね」


「大丈夫だよ。きちんと押さえておくから」



 二人で流れるプールに入って、俺は愛理の浮き輪の上に上半身を乗せて、浮き輪を安定させる。

愛理は俺の体に抱き着いている。



「やっぱりこれがリラックスできて楽しい」


「俺も愛理と密着できて嬉しい」


「そんなこと言わないで。恥ずかしいじゃん」



 そう言いながらも愛理は俺に体を密着させて抱き着いてくる。

その顔は笑顔が綻んでいる。

俺も顔が自然と綻ぶ。


 周りの男性達からの嫉妬の視線が痛い。

しかし、学校でも嫉妬の視線に慣れている俺にとっては気にすることはない。


 流れるプールを二周して二人でプールサイドにあがる。

その頃には太陽が西に傾き始めていた。



「私も疲れたし、もうそろそろ帰ろうよ」


「そうだね。今日は十分に楽しんだしね」


「うん。今日は楽しかった」



 二人で手を繋いでレンタル浮き輪を返して、更衣室へ向かう。

更衣室の手前に備え付けられているシャワーで体の汚れを落とす。

そして男女に分かれて更衣室へ入った。


 そして更衣室で私服と着替える。

私服に着替え終わった俺が更衣室を出ると、まだ愛理は出ていなかった。

しばらく待つと愛理が更衣室から出てきた。


 水着姿の愛理もいいが、私服姿の愛理も美しくて可愛くて眩しい。



「お待たせ。これからアパートに帰るんだけど、亮太、少しは遅くなってもいいんでしょ」


「今日は友達とプールに行った後、夕食を食べてくると家に言ってあるから、ゆっくりできるよ」


「ヤッタね。それじゃあ、私、夕食つくるから、ゆっくりしていってね」


「ありがとう」



 初夏の日差しが俺と愛理の上に降り注ぐ。

太陽が西日になって、陽光の日差しが目に眩しい。


 俺と愛理は自転車に乗って、愛理のアパートに向かって走っていった。

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