25話 愛理との勉強会
ファミレスに行った、次の日、俺は両親に勉強会に出ると言って、朝学校へ行った。
途中で愛理のアパートに寄って、愛理と合流する。
そして岡島高校へ向かった。
「今日は、夜まで勉強会できる?」
「親には勉強会のことは言ってきたから大丈夫だよ」
「やったー。今日は夜になるまで亮太と一緒じゃん」
愛理は少しジャンプして喜んでいる。
二人で勉強するだけなのに、俺は鼓動がドキドキするのを感じる。
二人で手を繋いで登校する。
校舎に入り、下駄箱で手を離して、二階までの階段をのぼり、自分達の教室へ入る。
そして愛理は鞄を机の上に置いて、女子達の輪の中へ入っていく。
俺は自分の机に鞄を置いて席につくと、聡が隣の席に座る。
「昨日は大変だったぜ。でも汐音と凛が俺と体が密着していることも忘れて、俺に勉強を教えてくれるとは思わなかったな」
「それだけ真剣に教えてくれていたってことだろう。ありがたく思っておいたほうがいいぞ」
「ああ……そうするわ。またファミレス勉強会しようぜ」
「汐音と凛の暇な時にな。愛理に予定を聞いてもらっておくよ」
「助かる」
聡はすっかり昨日のファミレス勉強会を気に入ったようだ。
どんな形であれ、勉強を好きになることはいいことだ。
動機がちょっと不純だけど。
汐音、凛、愛理の三人は女子達の輪の中で楽しく談笑している。
ケラケラと笑う声が聞こえてくる。
時々、愛理がこちらをチラリと見ている。
俺はその度に手を振って、合図をすると、愛理も手を振って嬉しそうに笑顔をふりまく。
そして女子達の輪の中から出てきて、俺の向かいの席に座る。
「昨日の勉強会、汐音と凛は疲れたけど、面白かったて。また勉強会をしてもいいよって言ってたわよ。聡、良かったじゃん」
「ヤッター。次の勉強会はいつなんだ?」
「そこまでは聞いてないよ。また汐音と凛に聞いておくね。それまでに聡、一人だけでも勉強しないとダメだからね。汐音と凛に怒られるよ」
「わかった。家で一人の時でも勉強はしておくよ。赤点は取りたくねーからな」
確かに赤点は取りたくない。
俺も一年生の時に、一度だけ赤点を取りかけたことがあった。
それから嫌で勉強を続けて、今は中の中の位置にいるけど。
「そういう愛理は大丈夫なのか? 何だか余裕な雰囲気がするんだけど?」
「私は大丈夫。今日も亮太が勉強を教えてくれることになってるから」
「クソっ……これだからカップルは。いいよなー……俺も誰か彼女になってくれないかなー」
「もう藤本委員長は諦めたのか?」
「まったく相手にされていないからな。諦めた」
この切り替えの速さこそ、聡の持ち味だな。
聡は地味男の中でもイケメンなのだから、いつか彼女ができるだろう。
少し軽薄な所はあるけれど、良い男子だと思う。
「汐音と凛は無理だからね。二人共隠しているけど彼氏いるみたいだから」
「なぜ隠しているんだ? 愛理には言ってもいいじゃないか?」
「よくわかんないけど、説明するのが面倒だって二人共言ってた。私も深く聞かないし」
汐音と凛も愛理と同じほど岡島高校では有名な美少女ギャルだ。
だから彼氏がいるとなると噂が広まる。
それを嫌がっているのかもしれない。
「亮太、放課後が楽しみだね。私、勉強頑張るから」
そう言って愛理は女子の輪の中へ戻っていった。
◆
午後のHRが終わって、一階の下駄箱で愛理と合流して、校舎を出て、愛理のアパートへと向かう。
愛理のアパートの二階にあがって、愛理が家の鍵を開けて、玄関へ入る。
いつも思うが愛理の家は良い香りがする。
子猫のウータが足に身体をこすりつけてくる。
「ニャー」
「ウータ。お前は可愛いな」
俺はウータを抱き上げて頭をなでる。
俺がウータと遊んでいる間に、愛理は自分の部屋に入って着替えをしている。
部屋から出て来た時にはノーショルダーのニットにデニムという普段着だった。
ダイニングテーブルに教科書、ノート、参考書、プリント、筆記用具を出して、勉強の準備を整えていく。
俺はウータを膝の上に乗せて、愛理の斜め向かいの席に座る。
「今日の苦手科目は何?」
「理科」
理科は暗記問題だからな。
俺が教える所なんてほとんどないんだけどな。
「化学式の変化がわからないの」
化学式か。あれも一度わからなくなると全てがわからなくなるからな。
考えるよりも素直に覚えていくことが一番いいと思うだけど、上手くいかないんだよな。
「理科はどれも暗記問題だよ。科学式も迷わないで、丸覚えしたほうが早い」
「へえ……理科って暗記問題だったんだ。私、勘違いしてたかも」
「俺も初めはそうだったよ。慣れてきて暗記したほうが早いことに気づいただけ」
「愛理が教科書を見て、ノートしている時、俺が参考書の要点のところにマーカーで印をつけてあげるよ。そのほうが俺の勉強にもなるし」
「ありがとう……亮太」
愛理が教科書で勉強している間に、俺は愛理の参考書を借りて、要点にマーカーを引いていく。ついでに自分の理科の勉強もしておく。
「今から暗記しておけば、期末テストの時には良い点数になると思うよ」
「ありがとう」
愛理は立ち上がると俺の頬にチュッとキスをした。
一気に顔が熱くなるのがわかる。
今、俺を見たら、顔を真っ赤にしていることだろう。
頬にキスした愛理は、嬉しそうな笑顔で、頬を赤くしていた。
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