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22話 愛理と初めてのゲームセンター

 ゲームセンターへ着いた俺達はプリクラコーナーへ向かう。

色々なプリクラのBOXが並んでいる。

どれが良いのか、全くわからない。

女子とプリクラを撮ったこともないのだから当たり前か。



「亮太はプリクラ初めて?」


「女の子と撮るのは初めてだよ」


「やったね。亮太と二人でプリクラ撮るの楽しみにしてたし」



 愛理に連れられてプリクラの中に入る。

愛理が手慣れた手つきで、装置を操作していく。



「これでOK。もっと亮太は私に近付いて。そうじゃないと二人で撮れないじゃん」



 これ以上近付くと愛理が抱き着くような恰好になるんだけど。

愛理はこれでもかと体を密着させてきた。

愛理の豊満な双丘が体に当たる。


 それだけで俺の鼓動はドキドキと早くなる。

体に緊張が走る。


 カシャというシャッター音がして、プリクラ1枚が撮れた。

覗いてみると、俺の顔が思いっきり緊張している。



「キャハハ。亮太、超緊張してんの。これ記念に1枚持っておこう」


「誰にも見せないでくれよ」


「ダーメ。汐音と凛に見せるの。二人とも大笑いするだろうな」


「勘弁してくれ」



 続いてプリクラを撮り続ける。

俺の顔はどれも緊張していた。

上手く笑顔を作ることができない。

逆に愛理はとても嬉しそうに笑顔で写っている。



「これでプリクラはOKね」



 やっとプリクラから解放された。

愛理はゆっくりとクレーンゲームのほうへ歩いていく。

色々なクレーンゲームの台が置かれている。



「これがいいかな? 亮太、取って!」



 俺はクレーンゲームなんて得意じゃないぞ。

商品を取れる自信なんかない。



「俺、あんまりやったことがないんだ」


「じゃあ、一緒にやればいいじゃん。狙うのは、あのだらけた熊のぬいぐるみね」


「わかった。それじゃあ、愛理が声をかけてくれ。その声でボタンを離すから」



 硬貨を入れて横に動くボタンを押す。



「ストップ」



 次に奥へ行くボタンを押す。



「ストップ」



 愛理の声でボタンから手を離す。


 クレーンが止まって下へ微妙に回転して降りていき、アームが開く。

 しかし上手くだらけた熊をアームで挟むことができない。

途中で落ちてしまう。

それでも穴には近づいている。



「穴へ落とせばいいんだから。亮太頑張って」


「愛理も指示して。俺こういうのは苦手なんだよ」



 愛理の指示どおりにクレーンゲームを操作していく。

五回目でやっと、だらけた熊をゲットできた。



「はい。これ」


「ありがとう。今日の記念に大事にするね」



 愛理は嬉しそうにだらけた熊を抱きしめている。

本当に女の子はぬいぐるみが好きだな。


 ゲームセンターから出ると既に外は夕陽になっていた。



「よく遊んだし、家に帰ろうか」


「うん。ぬいぐるみの熊さんも一緒にね」



 愛理と手を繋いで駅前の繁華街から、愛理のアパートまで歩道を歩いて行く。

今日の愛理はいつもと違って、少し大人びた印象を受ける。

メイクの違いかもしれない。



「今日はメイクを少し変えてる?」


「よくわかったじゃん。いつもよりもバッチリメイクしてるよ」


「今日のほうがいつもよりも大人っぽく見える」


「そうでしょ……ウフフ」



 メイクが違うことを俺がわかったことで、愛理の機嫌が良くなった。

やはり女子としては、わかってほしい部分なんだろう。


 アパート近くのいつもの公園のベンチに二人で座る。

そして二人で夕陽を眺めた。


 とても大きな赤い太陽が西の空へ降りていく。

とてもきれいな夕焼けだ。


 夕焼けの陽光を浴びて、愛理の横顔が赤く染まる。

とても美しくきれいだ。


 横顔をみていると、愛理がクルリと俺の方へ顔を向けてにっこりと笑う。



「亮太って本当に私の横顔をみるのが好きね」


「そうだね。愛理は可愛いから、つい横顔に見惚れるんだよ」


「そんなこと言われたら恥ずかしいじゃん」



 愛理は照れたように顔を真っ赤にして、少し俯く。

その仕草も可愛い。



「亮太、今日は夕飯を食べて行ってよ。いいでしょ?」


「今日は両親に出かけるって言ってきてるから、夕飯を食べて帰っても大丈夫だよ」


「ヤッター。それじゃあ、これからスーパーへ行って夕飯の準備をしましょ。今日は何を食べたいの?」


「今日はオムライスが食べたいかな」


「そんな簡単なものでいいの? もっと色々と料理できるよ」


「それじゃあ、オムライスとハンバーグにして」


「わかったわ。それじゃあ、今からスーパーへ行きましょう」



 俺達二人は公園を出てスーパーへ向かって歩く。

スーパーで買い物をして、愛理のアパートに到着した。

二階へのぼり、愛理が鍵を開けて玄関へ入る。


 玄関で靴を脱いでダイニングに入ると、愛理の香りが家中から漂ってくる。

甘くて優しくて、落ち着く香り。


 ダイニングテーブルの上にはスーパーで買い物した荷物が置かれている。

愛理は自分の部屋に入って、服を着替えて戻ってきた。

薄ピンク色のニットとデニムの姿だ。


 髪をポニーテールにまとめてエプロンを着けて、夕飯の準備にとりかかる。

俺の膝の上に、ウータが飛び乗ってきたので、優しく背中を撫でてやる。



「ニャー」


「ウータ、亮太に懐いたね」


「そうだね。子猫は可愛いね」



 俺がウータと遊んでいる間に、キッチンでは夕飯の準備が進められていく。

愛理はテキパキと動き、動きに隙がない。

あっという間に夕飯の準備は終わっている。



「後は炊飯器のお米が炊けてからね」



 そして俺と愛理はウータと一緒に遊んだ。

ウータは飛び跳ねて喜んでいる。

本当に子猫は可愛い。

もちろん愛理も可愛いけど。


 炊飯器の米が炊けたので、愛理はキチンへと戻っていった。

そして本格的に料理を始める。

しばらくすると、ダイニングテーブルの上にはオムライス、ハンバーグ、野菜サラダ、コンソメスープ、ご飯、お箸と並べられていく。


 全て並べ終わるとエプロンを外した愛理が対面の席に座った。



「「いただきます」」



 オムライスを覆った卵はフワフワで、口の中で蕩ける。ハンバーグは肉汁がジュワッと出てきて、とても美味しい。



「美味しい?」


「美味しいよ!」



 愛理は嬉しそうに微笑みながら、小さな口でハンバーグを食べる。

その笑顔がとても嬉しそうだ。


 あまりの美味しさに、ご飯をお代わりして、全ての料理を平らげてしまった。

愛理は嬉しそうに小さく拍手している。



「本当に亮太って、美味しそうに食べてくれるから、作った私もうれしくなるじゃん」


「美味しいんだから仕方ないだろう」


「今日はゆっくりして行けるでしょ?」


「今日は大丈夫だよ」



 愛理は俺の言葉を聞いて嬉しそうに喜んだ。

こうして二人で楽しく夕食を食べ、リラックスした時間を過ごした。

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