第5話 出会い
なびく真っ赤なふわふわ髪。
少しつり目の意思の強い瞳が悲しげに揺れている。
とても綺麗な人。
どうしてそんな悲しい顔をしているのだろう?
ずっと隣にいて支えて差し上げたい!
風が止むと、美しいひとはどこかへと去ってしまった。
「このときめきは!恋?」
「んなわけないだろ!」
「ひゃあああ」
びっくりした!
ちょっと脅かさないでよケイト!
いつの間に隣にいたのよ?
「てか、おまえ!俺を置いて勝手に登校するなよ!一応おまえに何かあった時の為の一緒の登校なんだからな!」
「ケイトも父様達も心配性なのよ!私は大丈夫なのに!」
「3日前のことをもう忘れたか。」
「てへっ☆」
ケイトが深いため息をつく。
「そんな事より、さっきの超絶美少女の事はご存知?」
「え?あー、公爵家のローズ様だな!」
「ローズ様…」
お友達になってくれないかしら?
あの輝かしい美少女とお友達になれたら、友達100人なんていらない!
公爵家のローズ様…ん!?ローズ様。
赤い髪の毛の縦ロールのつり目。
うーむ。
なんか思い出しそう!
頑張れ私の脳みそ!!
「どうしたアリシア?突然静かになって。そろそろ入学式の時間だから移動したいんだが…」
うーむ!
なんか引っかかるんだよね!
こう、最後の願望的な?
「無反応かよ…。時間ないし、引っ張っていくからな?」
ケイトは入学式のホールに向かい、私の手を取って歩き出す。
「大人しいと、お淑やかに見えて可愛いのにな(ぼそっ)」
ケイトの小声は残念ながらアリシアに聞こえていなかった。
それよりも重要ななにかを思い出し中だからだ。
アリシア、ローズ様、入学式。
最後の願望、レインボーフィッシュ。
…はっ!
「ケイト!」
「な、なんだよ!(やばい、聞こえてたか?)」
「もしかしてなんだけどね、同じ学年に王子様がいたりしてー!なーんてね!そんなわけないよね!あはははは…」
流石にそんなわけないよね?
ね?
突然嫌な汗がダラダラ溢れ出す。
やばい!頼む!いないと言ってくれ!
「と、突然どうしたんだ?まぁ病弱だったから知らなくても仕方ないが。(よかったー!聞こえてなかった!)」
ダラダラダラ
溢れ出る嫌な汗
「王子ならいるぞ!」
ぎゃーーーっ!
終わった!私の人生が終わってしまった!
ここが、乙女ゲーム『きらめきはいつもすぐそこに』の世界だと発覚してしまった!