第4話 幼馴染
親愛なる雪子ちゃんへ
お元気ですか?
私は病弱だけど心はいつも元気です。
転生先は伯爵家だったので、私は伯爵令嬢だよ!
なんか憧れの白い肌とピンクブロンドのふわふわの髪とぱっちり二重を装備してるよ!
やばくない?モテるかな?
ちょっと過保護だけど優しい両親と、とーっても可愛くて麗しくて尊い天使な弟がいます。
弟は本当に可愛くて今度ショートパンツを履かせて、ツルツルのおみ足をじっくり観察したいです。
あと、うるさい幼馴染がいます。
あんな別れになってしまいましたが、雪子ちゃんには幸せになって欲しいので、私の事は気にせずに人生を謳歌してください。
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あの後、案の定風邪を引きました。
昔よりは丈夫になったとはいえ、弱い体が憎い!
うつるといけないからと、エンジェルとも引き離されるし。
潤いのない辛い3日間だったよ。
そんなこんなで、あっという間に入学式当日。
楽しみにしてただけあって、早起きしてしまった。
ケイトと登校予定だったけど、1人で早めに学園に向かう。
出発前にエンジェルから
「おねえたま、いってらっしゃい!さみしいけど、かえってきたらがくえんのおはなししてね?」
と可愛いお願いをされたので、元気100倍である。
もちろんテオの為に全力ではやく帰る予定だ。
「そういえばこの学園で有名な中庭があるって、ケイトが言ってたな。噴水もあって素敵な場所みたいだし、覗いてみようかな?」
まだみんなが登校し始める時間まで少しあるし、お散歩しよう!
ケイトに会ったら先に登校した事怒られそうだなー!
逃げようかなー!
大体朝の稽古で剣の素振り1000回とか待ってられないよ!
側から見たらひどい扱いだろうけど、ケイトにはとても感謝している。
とても大切な幼馴染であり、親友。
気が許せるからこそのあの態度なのだ。
病弱で家から出られなかった私に紹介されたのがケイトだった。
「体が丈夫になるまでは俺で我慢してくれ!」
自分も友達と遊びたいだろうに、こまめに私に会いに来てくれる優しい奴なのだ。
家は侯爵家で、代々軍事的な事を任される由緒正しい家らしい。
将来は親の後を継ぐから、毎日鍛錬らしき事もしている。
頑張り屋でもあるのだ。
でもあいつ、婚約者とかいないな?
優良物件なのになんでだろう?
そんな事を考えながら歩いていたら、中庭に到着したらしい。
先客がいたらしく、噴水近くのベンチに座っている人影を発見した。
その時強い風が吹いた。