10.ラストガールの光機魔術
「――――嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!! アミュ、アミュ、アミュ! 生き返ってよ、生き返って、またいっしょに遊ぼうよ!!!!! ア゛ミ゛ュ゛……! うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!! 嘘だ……嘘だ……!」
……このままだと壊れてしまう。
「……ねえ、トーカ」
「――――だ……れ……? ……私を殺しにきてくれたの? ……そっか……そうだよね……そうだそうだ。……そんなことするよりも……アミュを……アミュを……生き返らせてよ!」
「――――え?」
本当の地獄は……まだ始まったばかりだった――――
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――――夜風が涼しい。
私は暗黒の空を――――駆け抜ける。
――――『人間』じゃない私は駆け抜ける。
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「――――クソッ!!!!! ……ああ……痛え……!」
見知らぬ場所。見知らぬ景色。見知らぬ世界。
……私は彷徨っていた。
視界にはチラチラと闇が映る。無理もない。致命傷にならなくてよかったと思うべきか。
痛い。痛い。痛い痛い痛い痛い痛い! 思い返すだけで、痛くなる。
「――――お父様……どうか、私にお力を……!」
……私は、私を生み出してくれた……お父様に願う。
「――――殺す」
「――――絶対に殺してやる!!! あの、ジメジメしたクソ女ァ!!!!!」
――――いや、ちがう。
不気味な笑みを浮かべる。
「――――ジワジワといたぶって晒し者にしてやろう……! そうだ……それがいい……」
――――アレ。……何かちがう。
――――そんな気がする。
――――やっぱり何かがちがががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががうううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう?
――――アレ、だって……。
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「――――魔法を使うのは……どうしても困ったとき。……どうしても困ったときだけ使うんだ……絶対だ」
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――――やっぱり……何かちがう。
何かが――――ちがう――――
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「――――できた!!! ……できた!!!!!」
完成したんだ! ……『魔術ロボット』が!
「よし、それを入れてやれば……」
緑色に光るそれを嵌め込む。
ピッ、ピ……ピピピピピ!!!!! ゲーム機を起動したような音がする。
「――――ここは……」
「よし、成功だ!!!」
思わず、ガッツポーズをする。これほど嬉しいことはそう、ない。
「……思考を読み取りました。……なるほど、私は貴方につくられたのですね。……お父様、指示をお願い致します」
人間のように言葉を話す、それは……俺にとっては宝物のようだった。命の次に大切だと言っても良いくらいだ。
「おっと、俺の名前は『オズ』って言うんだ。お父様じゃなくて『オズ』って呼んでほしい」
魔術ロボットだったとしても、俺がそれをつくった本人だったとしても、なるべく対等な関係でありたい。
だから、そう呼んでほしい。
「……それはできません。私をつくってくれた。この世界に生み出してくれた。……だから、私はお父様とお呼びします」
「……そうか」
強要するのは悪いと思った。だから、それ以上「呼んでくれ」とは言わなかった。
――――そういえば。なんて名で呼んだらいいのだろう。
……「魔術ロボット」って、呼ぶのはなんか変だし。
――――今日から『家族』なんだから。
名前を考えながら、窓の外にある湖を見る。
――――ポツリ、ポツリ。
「あれ、雨が降ってきちゃったなあ……」
あーあ、しまったなあ。洗濯物、干しっぱなしだよ。雲行き、さっきまで大丈夫そうだったのになあ。
「――――雨。……雨? ……この、雨というのは……良い音がしますね。……お父様」
――――まさか、雨に興味を持つなんて思わなかった。
――――『アメ』。『アメ』と、呼ぶことにしよう。
俺はそんなことを考えながら、干しっぱなしだった洗濯物を取り込みに行った――――
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『10.ラストガールの光機魔術』
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「――――何言ってるの? トーカ、リールだよ、リール!」
「――――こっち……こないで……!」
涙をポロポロと流しながら、不審者を見るかのような目で私を見る。
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
泣く、泣く、泣く。
――――髪が。
――――髪が。
――――髪色が変わっていく。
闇が光を飲み込み、光が消えていくように。
――――いや、その反対で。
――――トーカのきれいなきれいな『黒髪』が、徐々に真っ白に妖しく光る白髪へと変わっていく。
白く白く……雪のように美しく儚い白髪に……。
――――何が起きているというの?
――――悲痛の叫びが止まない。
ただでさえ心がボロボロであろうというのに、 心がもっとボロボロ、ボロボロ、ボロボロ、ボロボロボロボロボロボロに。
――――そして。
「――――あぁ……。あ……ぁ……。……」
声を発することもなくなり、涙を流すこともなくなり――――脱け殻のようになって、その場に倒れ込んでしまう。
「トーカ! トーカ!」
呼び掛けてからだを揺するが、反応は一切ない。
早くしないと……シピスがきてしまうかもしれない。……逃げないと。
――――トーカと、アミュの亡骸を抱えて逃げることはできるだろうか?
――――無理だ。辛うじてトーカを抱えて逃げれるかもしれない。……でも、アミュの亡骸まで抱えて逃げるなんて……!
「……ゴメン、アミュ」
――――私は最低な人間だと思う。私は最低な人間だ。
……私は……私は、アミュの亡骸をその場に残し……逃げてしまった。本当に最低な人間だと思う。
……ゴメン、アミュ。私は何度もアミュに謝った。
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――――爆発音と共に爆風が発生する。心臓にまで轟くようなその不快な音は、いつまで経っても止まない。心臓にまで届くようなその不快な風は、いつまで経っても止まない。
「また、オズのところか……」
そいつの家は村の外れにある。……隔離されていると言った方が適当だろう。
ワタシはオズの家へと急ぐ――――
ドン、ドンと扉を叩く。
「おい、オズ! また、何かやらかしたのか!」
「――――いや、ごめんなぁ、ジャス。また、やらかしちゃって……」
扉を開けながら謝る。
「……ったく。また、村の奴等からゴミを投げられたり殴られたりするぞ! ただでさえ、お前は村八分にされてるんだからさぁ……。お前は、冤罪吹っ掛けられてもおかしくない存在なんだぞ!」
ワタシはオズの家の中へ入る。
「お、おい! ジャス……!」
「いったい何をやらかしたんだ――――」
「――――あ。……お客様でしょうか? 初めまして、お客様。ごゆっくりとおくつろぎください」
――――それは、きれいな黄金色をした髪を持つ、美しい少女だった。
……そうじゃなくて!
「な、なんだぁ! オズ! お前の娘か何かか? ……お前に娘がいるなんて、聞いたことなかったんだが」
「――――いや、ちがう」
娘じゃないなら親戚か? それとも、拾い子か?
「――――その娘は――――『魔術ロボット』だ」
――――魔術ロボット!?
「どういうことだぁ!? この娘を……お前がつくったってかぁ!?」
「……そうだよ。やっと、念願の夢が叶ったんだ」
「お前、正気か!!!!?」
――――激昂する。そうだと思った。
「……魔術ロボットは忌み嫌われた存在だぞ! お前、どういうことかわかってるのか!!!!?」
「……わかってるよ」
「――――お前、今度こそ殺されてもおかしくないんだぞ!!!!!」
「……わかってるさ。……でも、俺は……この娘に賭ける……! いや、ちがう。俺は、この娘に賭けたいんだ!」
「……そこまで言うなら、そこの魔術ロボットを隠し通せよ。さすがに、もう、隠すのを手伝うのは無理だ」
「……おっと、訂正してくれ。この娘はもう、俺の大切な家族なんだ。『アメ』と名付けた。『アメ』と呼んでくれ」
「……そいつは申し訳ない。ところで、さっきの爆発は……まさか、あの娘が?」
「……ああ、ちと力の加減がわからないみたいでな」
――――俺はこの娘に賭ける。
そして――――
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後に、そのロボットが使う魔法は『光機魔術』と呼ばれ、その少女は『ラストガール』と呼ばれた――――
『ラストガールの光機魔術』
『ラストガールの光――――』
『ラストガ――――』
『ラ――――』
『――――』
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