第2話
2XXX年、ここは知る人ぞ知る小さな事務所。
日本の街の中、建物が並ぶ中にひっそりと営業されている、そんな場所に位置している。
その事務所の前に置いてある看板にはこう書かれていた。
""貴方には変えたい、消したい過去はありますか?""
""その過去変えます。""
そんな胡散臭い看板を提げる事務所の名前は
時崎改変事務所
今日も閑古鳥が鳴いている。
夏が終わり秋に差し掛かろうと蝉の鳴き声が止んで来ているお昼の最中、今日は可愛らしい女の子が訪ねて来ていた。
第2話
「私の名前はアリー・ジェイン・ケリーと言います。…」
彼女の話を要約するとこうだ。彼女の家は元々裕福な家庭でひいひいお婆さんにあたるのがメアリー・ジェイン・ケリーとう女性であり、かの有名な「切り裂きジャック」の被害者であること。その切り裂きジャックの影響か、ひいひいお爺さんが悲しみで豹変し彼女の一家が没落したこと。
その切り裂きジャック事件を止めて欲しいのが彼女の依頼であった。
「私の家は今でこそ持ち直し不自由な生活は送ってませんが、切り裂きジャックの影響かわからないですが、私の一族の女性は皆出産した翌年の誕生日の日に変死します。私も今現在婚約中の男性がいますが、その方の子供を出産すればその翌年には死ぬでしょう。この事件が終わり"私が消えても"この呪いさえ終わるのであれば私は充分なのです。どうかお願いします。」
彼女は無理に作った笑顔で目に涙を溜めながら言った。
「あの…失礼ですが、どうしてアリーさんが消えることになるんですか?」
水際が告げた。
「それは…。」
「メアリーは死んだ時にお腹に子がいたそうだった。メアリー自身が生きてれば"養子"として迎えられた子から続いた一族は続かない。つまりアリーは産まれないんだ。歴史を変えればアリー自身はいないものとなるんだよ。」
アリーの言葉を遮って時崎が答えた。
「そんな…。」
水際が悲しみの表情を浮かべ言葉を発した。
「いいんです。このまま、この生活でいつ死ぬかを怯えるよりも変わった世界でしあわせな生活が送れるようになれば私は居なくなってもそれで…」
泣きそうになりながらもそれでも笑顔でアリーは言った。
「それで、うちに来たという事は」
「はい、これですよね。」
水際が感動で涙を流している最中、時崎は事務的にアリーに言い、アリーは1枚の写真を取り出す。
「これはメアリーとその家族で撮った写真です。」
「まぁ、綺麗な人。」
「はい、自慢の先祖様です。」
水際がいつのまにか涙を拭き写真を見る。
「それではこれ読んで、この1番下に印鑑でなく指印をここに、そして、ここにサインしてくれ。」
その紙には
・ここに記録された事には歴史に残る作用が働く。
・歴史を改変するようにしたことを他人に洩らさない。
・報酬は前払い。
「あの…本当に事件を防ぐことが出来るのでしょうか?」
「おいおい、今になって疑ってるのかよ。ああ、事件の被害者として残らないのだから証明は容易いだろ?」
「そうね…。」
そう言いながらアリーはサインする。
「これで契約は成立だ。帰っていいぞ。」
事務的に仕事をし、時崎は2人に告げた。そう言われ、アリーとお付きの男性は帰ろうとしてドアに手をかけようとしたその時、時崎は言った。
「消えるとか言ってたが、この契約書は残り続けてる。お前が依頼した改変でどうなるかはまだわからない。だがな、お前がやろうとしたことは先祖にも誇れる事だ。ここにしっかり残ってるんだ。胸張っていい。時代や皆に忘れられようと俺が覚えてる。」
アリーはついに涙を流し、"はい。"と、憑き物が落ちたかのように美しい笑顔をこちらに見せ、帰っていった。
「所長ってツンデレさんですか?」
水際が水を差す。
「うるせえ、水際、1800年代後半の服装、資料などの準備をしろ。」
時崎が顔を赤らめながらぶっきらぼうに水際に言う。
「はいはい、所長は全く素直じゃないんだから。」
「早く動け。」
「はーい。」
にやにやしながら水際は事務所の裏に行った。
貴方は枝分かれした様々なルートの中から一つを選択して未来を作り上げ、結果として過去が出来る、そんな結果を変えられるとしたらどうしますか?
2XXX年、ここは知る人ぞ知る小さな事務所。
日本の街の中、建物が並ぶ中にひっそりと営業されている、そんな場所に位置している。
その事務所の前に置いてある看板にはこう書かれていた。
""貴方には変えたい、消したい過去はありますか?""
""その過去変えます。""
そんな胡散臭い看板を提げる事務所の名前は
時崎改変事務所
今日は閑古鳥が鳴いていない。
今日はここまでです。
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ではまた次回