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Haruo my friend (春男 マイ フレンド)

作者: 吉礼

春男(ハルオ)は僕の友達。


初めて会ったのが僕が4歳の時だからもうすぐ7年になる…… 予定だった。


春男は今日の朝、遠い所へ行きました。


僕は寂しかったけど涙は流しませんでした。それが春男との約束だったからです。


春男は少し前からこの日が来るのを薄々感づいていたのだと思います。 最後に僕の顔を見た春男は、「約束ですよ、泣かないで下さいね、また逢えますから」 と言っているように思いました。


春男との思い出を数えあげたらきりがありません。


かけっこやサッカーやキャッチボール、どちらかと言うと体を動かすことの方が好きな春男は、ボールを持って僕の前に来ると「一緒に遊んで」とよくせがんできました。


僕が野良犬に吠えられた時は僕の前に立ち、身を挺して僕を守ってくれました。


春男は僕の大切な友達でした。


春男はお父さんが拾って来ました。


初めてウチに来た時は、薄汚れていたのですぐにお風呂に入れてご飯を食べさせてあげました。


その日から春男は僕になついてきてすぐに友達になりました。


でもお父さんは厳しくて、「主従関係をはっきりさせておかないといけない」と言って春男がたまにふざけたりすると、酷く怒って春男を叩いたりもしていました。


春男の一番の楽しみはやっぱりご飯の時だったみたいです。

とても食いしん坊で決められた分だけだと足りなさそうだったので、いつも後で僕がお父さんの目を盗んで食べ残しを分けてやっていました。


そんな時、春男は「坊っちゃん、すまねぇです!すまねぇです!」と言って僕の食べ残しを急いで口に入れます。


ある日、春男があやまってお父さんの大切にしていた花瓶を割ってしまったことがありました。


その時のお父さんは鬼のように怒り、春男を動けなくなるまでボコボコに殴り雨の降る庭に放り出しました。


さすがにその時は僕も春男を庇うことは出来ませんでした。


でもやっぱり気になって皆が寝静まった頃に、庭に出てびしょ濡れになった春男にタオルを掛けてやりました。


春男は今朝、遠い所へ旅立ちました。


お父さんの世界の言葉では「臭い飯を喰ってくる」と言うそうです。


僕のお父さんはヤクザの組長で路地裏で新聞紙の上に寝転がっていた春男を拾って来ました。


その日から春男は組の見習いとなり住み込みで雑用などをするようになったのです。


春男は組の幹部の身代わりとして今朝、警察に出頭していきました。


お父さんの話だと刑期は5年くらいになるそうです。



~おわり~

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