エピローグ
刑事がログを差し出してきた茶木淳一に質問をした後、それを船虫警部に渡した。
「その★が、ガイシャの星勝太です。23:37:49以降、発言が見当たりません」
「確かに『いいかげんにしろよな』で、終ってるな」
船虫さん、それを目を皿のようにして見た後、再び前を向き
「それにしても、仲が悪いですな? お二人さんって」
これに、右端にいる男が頭をかきながら
「僕がモーリーです。何、そいつの問題ですよ」
そう顎で指すのは左端にいるまゆみだが、無論彼女も反論してくる。
「警部さん! そいつこそ、どうかしてるんですよ!」
「まあまあ……」
こうなだめる船虫警部ではあったが、これ以上は、何も浮かんでは来ない。そして救いを求める目を……いつものように、いつもの人に向けている。
「何だ何だ? その媚びるようなやらしい目付きって?」
「ま、そう言わず……この通りですから」
警察の威信の微塵もなく、ひたすら手を合わせてくる相手に
「わあった、わあった!」
面倒臭そうに頷いた、女流探偵木俣マキ。
「どうせなら、もっと早めに紹介してよね」
と、愚痴を言いながらも
「ほな、いきまひょか?」
この軽さが、逆に学生たちを一層緊張させている。
「まずは、まゆみさん? あなたさ、中途でチャットから離れたでしょ?」
この唐突な質問に、そら慌てるまゆみ。
「え? え?」
「途中から、あなたの文体に変化が見られるもんね……ほら、こことここ」
女流探偵が、ログ上の数ヶ所を指差してきた。
「23:37:24迄は感嘆符の後に一文字分の余白があり、かつ三点リーダが連続で使われているよね? でもさ、それ以降はその兆候が認められないんだよねえ、これが」
「……」
「逆に、それからは文末の句点が現れたり、『ねぇ』とか、小さな『え』を付ける点が認められるんだ。そしてさ……」
ここで木俣さん、別の人物へと視線を移してきた。
「おそらくこれらを書いたのは、その前の方の文体から見て……おたくだよね?」
そう指摘された相手は、押し黙ったまま。
「第一、前半はポンポンと言い返していたのが、後半は一言返すのに一分近くもかかっているよね? テンポが悪くなったのは何故かなあ?」
「……」
「一人で二台のパソコンを操ったんでしょ? そしてその間に、もう一人が犯行に及んだ……こうとしか考えられないね」
ここで口を挟んできた船虫さん。
「な、な、何と?」
「禿げ虫さんさ、チャットをアリバイに使うってアイデアは評価できるけどね。悲しいかな、こうやって跡が残っちゃうんだよなあ、これが」
ニヤリと笑った木俣さん、続いて声を張り上げてきた。
「実際は仲良しさんなんだろ? モーリーさんとまゆみさんってさ!」