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山の頂を目指して

作者: ヤミヤ

 私は今、山を登っている。

 頂上は遥か彼方で、いつ到達できるのか分からない。

 

 躓いて転んだ事もあった。

 猛獣に襲われた事もあった。

 体調を崩した事もあった。

 頂上に着けるのか不安で寝ることができない夜もあった。

 

 それでも、一歩ずつ前に進む。

 時には、二歩戻って、また前に進む。

 ゆっくりと着実に一歩ずつ一歩ずつ進む。


 そんな中、隣を駆け足で駆け上がっていく人がいる。

 笑ってなんでもないといった感じで駆け上がっていく人がいる。

 私も駆け上がりたい衝動を押さえ、一歩ずつ進む。

 私にはこれしかできないからと、自分で自分に言い聞かせて、一歩ずつ進む。


 そんな中、ふと立ち止まり、今まで歩んできた道を振り返る。

 その道はでこぼこで、曲がりくねっていて、木や草が生い茂っている。

 私の体も傷だらけで、服もくしゃくしゃだ。

 

 私は笑う。その道を歩んできた自分を笑う。

 一歩ずつ歩んできた自分を笑う。

 半分は自虐的に、半分は誇らしげに笑う。

 

 私は私の道を歩んできた。

 それは、他の人からみれば、愚かな行為に見えたかもしれない。

 意味がない行為に見えるかもしれない。

 でも、確かに歩んできた。

 一歩ずつ歩んできた。

 そして、沢山の人に助けられてきた。

 沢山の人のお蔭でここまでこれた。


 私は頂上には行けないかもしれない。

 頂上を見ることさえ、できないかもしれない。

 でも、私は今まで歩んできたことを誇らしく思う。

 一歩ずつ歩んできた自分を誇らしく思う。

 そして、何よりも支えてくれた方を誇らしく思う。


 今年もどこからか除夜の鐘が聞こえてくる。

 私はそんな鐘に背中を押してもらうように、また、一歩ずつ進み始める。 

 遥か彼方の頂きを目指して進み始める。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 非常に力強い文章だと感じました。 何か大きな大きな問題ばかりの山(課題)に立ち向かう若い人の姿が見えた気がします。 こういう、自分の想いを文章に込めた感じの文章はとても好きなので、読んでい…
[良い点] 小説を書くこと、何かを作り出すこと、やり遂げることは、山に登るのに似ているかもしれません。単純な言葉の中に、力強さが感じられます。 [一言] 前に感想を書かせて頂いた時も、ストレートな作品…
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