バス停〜バス停
受験
中学3年の僕にとって初めての経験
幼稚園、小学校と悠々とすごしてきた。
しかしもうそんな余裕はない。
塾のが終わり時計の針は9時33分をさしている。
バスが来るまであと7分・・・
塾に通い始めてから、遊ぶ時間も少なくなり、友達ともあまり話さなくなった。
皆初めての受験で切羽詰っている。
人見知りであまり話さない俺は塾で友達なんかできなかった。
いや、もともとこの塾で仲良くしているやつなんてあまり見たことがない。
皆がライバルで、競争相手。皆必死で休み時間も勉強している。俺もそのの一人・・・
空想にふけっているうちに横に人が現れた。
けど、振り向きもしないし何の反応もしない。それほど疲れていた。
「楽しい?」
横からいきなり声がした。
誰だ?そう思い振り向いたら、自分より頭1個分小さく髪は肩まである少女。
同じ学校の制服名前は知っているそれ以上はしらない。輪島 翠俺が好きだった人
「なにが?」
「今・・・」
囁くように彼女は言った。
彼女とはクラスは違ってしゅべったこともあまりなかった。
だけど、たまに見かける彼女は友達とはしゃいでいて笑っていて楽しそうだった。
けど、最近は学校でも一人でいることが多いようだ。
笑う姿などあまりみかけなかった。
まあ・・・皆似たようなものか。
「楽しくないよ・・・」
「そう・・・私あなたのこと好きだった。」
いきなり告白!だった・・・過去形・・・
「どうして?」
「いつも楽しそうに笑っていたし、運動もできるし・・・」
「それでだんだん目で追うようにになっていて、それで好きになった・・・それだけ」
「キミ結構もてるんだよ知らなかった?今は知らないけど・・・誰とも話さないし・・・」
確かに今まで2回告白されたことがあった。両方断ったけど・・
今の告白は今までの告白よりまったく違っていた。
何の恥じらいもなさそうに無表情で作文でも読むかのように・・・
「実は俺も輪島のことすきだったんだぜ。」
俺も何の感情もなく無表情にそういった。
本当は今でも好きさ、でもなんとなく過去形になってしまった・・・
そんな俺の告白も彼女は驚いた表情もみせずただきいていた。
しかし「どうして?」と聞いた彼女の表情は今までも無表情とは違い
小さい悪戯をするような表情で声にも少し抑揚をつけて・・・
「それは・・・」
答えようとした瞬間ちょうどバスが来た。
バス扉は丁度俺の前、バスに乗り二人と一人の席俺はどっちに座るか迷った。
迷って歩いているうちにどんどん前の席へ・・・俺は二人用の席に座った。
彼女は少し後ろの一人用の席に座った・・・
まあ、隣に来てくれることとを少しは期待していた。
でも、わざわざ狭い席に二人で座ることもないか。
少し残念な気持ちと少しの安心感を感じた。
〔どうして彼女が好きになったのか?〕
よく考えるとわからなかった・・・
彼女は俺の降りる駅の一つ前で降りた。
降りる時「じゃ、さよなら」と一声かけてくれた。
まるでもう会えないみたいに、か細い声で・・
しかしそんなこともなく彼女は次の日も同じように塾に来て同じように一人で机に向かっていた。
そして塾が終わり現在9時23分、珍しく早く塾が終わった。
そして俺の横には輪島が・・・
「どうして?」
そしてまたいきなりの疑問形。
昨日の続きか?昨日の続きだろう・・・昨日の続きさ。
「・・・・」
わからない・・・
「じゃあ今でも好き?」
「ああ、好きだよ・・」
正直にいった。
「実は私も・・」
「そうなんだ・・・」
こんなことしか言えなかった。嬉しいわけでも嬉しくないわけでもない。
いや、正直嬉しいかな・・
「じゃあさ、好きな理由と好きになった理由どっちなら答えられる?」
「理由なんてわからない、気がついたらそうなっていた・・・と思う。」
「じゃ、付き合う?」
なにが「じゃ」なんだろう・・・
俺が5秒ぐらいくだらないことを考えていると
「冗談」
それきり彼女はしゃべらなくなった。
9時40分バスはまだ来ない。
9時43分バスが来た。
俺は二人用の席に座った。
彼女が横に座った。
何も話さずに狭い席に二人で座っていた。
俺の降りる駅のひとつ前、彼女は1度俺のほうを見て何も言わず降りていった。
「じゃ、付き合う?」
本当に冗談だったのだろうか・・
正直付き合いたいさ、今でも好きだから・・・
でも付き合ったとしても勉強で遊ぶ機会なんてほとんどないし
志望校が番うから中学を卒業したら離れ離れ・・・
どのみち長くは続かな勝ったと思う。
次の日
塾が終わり9時30分バス停には俺一人
9時39分バス停には一人の少年。
バスに乗り、そこには誰もいない。
今思えば今まで彼女はバスなんか使ってなかったあの日初めてバス停に現れた。
「今まで何で通ってたんだろ?」
バス停のすぐ近くに電車の駅もある、けど俺の家は駅から遠いからバスを使っている。
「あいつの家の近くの駅があったな、確か・・・」
10時3分バス停のベンチには一人の少女。
「気がついたらそうなっていた、か・・・・」
「私も理由なんてないけどね・・・」
「けど、好きだった・・・いや、現在進行中」
「でも・・・」
10時10分バス停のベンチには破れた手紙、涙のあと・・・・
最後まで読んでいただきありがとうございます。