早く帰りたいのに
おかしい…よね…。
知らない人が目の前に…二人も…。
何もしゃべらないし。
めっちゃかっこいいし。
めっちゃスタイルいいし。
こんな人達がこの私になんか用でもあるのか?
待って…私は…
中学校の入学式を終えて、級長に選ばれて…
先生に頼まれた事を終えて、教室にカバンをとりにきて…
気付けばこんな状態に…。
しかも教室にいるの私達だけだし…なんか気まずい…
…ん? 待てよ?
この人達、同じクラスの人じゃん!
なら普通にどいてって言えば…
?「岡ちゃん」
は?何?岡ちゃん?
「私は高岡奈緒美だよ?」
?「ごめんな~こいつが変なこと言って。俺は川口凛。こいつは神山龍揮。よろしくなっ!」
いきなり自己紹介って…暑苦しいタイプなのかな?
あんまり関わりたくない…。
早く家帰りたい…。
軽く流してさっさと帰ろ……
「凛くんと、龍揮くんか。よろしくね。」
顔には出さないけどね。
龍揮「僕たち、ある子に会うために東京から常滑に帰ってきたんだ。」
なんで今、私に言うの~?
帰りたいんだけど。
「へぇ、そうなんだ。」
凛「そいつとは幼稚園入る前から、小学校入る前くらいまで、ずっと一緒に遊んでたんだ。」
何が言いたいんだろ?
早く帰らせて…
龍揮「その子のことなら全部わかるんだ。考えてる事も、感情も、こうしたらどうなるかとか、全部ね。」
それはすごいね。ちょっと興味出てきたかも。
こんなに二人に想われてるなんて…幸せだな。その子。
「へぇ、すごいね。その子にはもう会えたの?」
凛「会えたよ。でも…その子は俺たちの事、覚えてないみたいだ。」
龍揮「それに、僕たちに対して警戒でもしてるのか、本音で接してくれないんだ。」
「それは悲しいね。」
凛「ほんとだよ。ったく鈍感過ぎるのもほどほどにしろよな」
龍揮「そういうところ、全然変わってないよね」
「いや、私に言われてもその子の事知らないし」
凛「…………」
龍揮「………」
「………?」
この沈黙は何?
「あー……私このあと用事あるから、そろそろ帰らないと…」
もちろん嘘。でもこんなイケメンくんたちと関わったら女子からの目線痛そうだし。ここらで切り上げとこ。
凛「待てよ」 ガシッ